奴は高速恋愛戦士!
崔 梨遙(再)
1話完結:900字
僕と小学校、中学校の同級生だった陣内君は、二十歳の時に1年間他県の学校に行った。まあ、僕等の街まで1時間~1時間半だから遠くはない。彼には、僕等のいた街に恋人がいた。杏子という女性だ。同じく中学校の同級生。陣内と杏子は高校も同じだった。めでたくカップル成立。僕達は心からお祝いした。
で、お年頃の陣内は性欲が強かった。そう、それはまるで一匹の猿のように。だが、その頃の彼はお金が無かった。だから、デートにお金をかけることは出来なかった。杏子を楽しい場所に連れて行ってあげることが出来ない。金を増やそうとしてパチンコに行ったら負けて帰って来る。
ということで、野外で陣内と杏子が結ばれることが多くなる。野外が当たり前になったようだ。まあ、それはいい。個人の自由と言えるだろう。いや……童貞を捨ててスグに野外プレイが多くなるというのはどうかと思ったが……。僕は野外で出来ない(見られてると思うと出来ない)ので、陣内君の勇気に拍手した。
で、冬は流石にホテルに行っていたらしい。だが! お金が無いので1時間の料金しか払えない。そこで陣内がとった行動は? 1時間で2回プレイしてお風呂にも入るというハイスピードな結ばれ方だった!
どんだけスピーディーやねん? 杏子の方は、それで良かったのか? うーん、わからない。1時間で2回、そして風呂に入る? そんなことが出来るのか? 僕には出来ない荒技だ。それが原因なのかどうかはわからないが、2人はあまり長続きせずに別れたらしい。陣内は、会う度に自慢げに杏子のことを話していたのに。よく“杏子は俺が育てた女や”と言っていた。
告白したのは杏子の方からだったが、“別れるなんて嫌や!”とすがりついたのは陣内の方だった。見苦しい別れ方だった。見苦しくて、見ていられなくなって、
「陣内、もう帰ろうや」
と言って、その日は朝まで陣内に付き合った。陣内は杏子に未練タラタラだった。流石に、僕もその日は陣内を慰めた。朝方、気付くと陣内は泣き疲れて寝ていた。
だが、僕等は陣内に一目おいた。スピーディーな男、疾風陣内と。
奴は高速恋愛戦士! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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