16発目 納豆に使うカラシって大体付属の奴だよね
三人が勝手に俺の家で遊んでいる間。どうやら夕飯もうちで食べると言い出したので四人で買い出しに向かうことになった。二子にはジャージから私服に着替えて貰った。
「何か食べたいものでもあるか?」
俺の問いにいの一番に答えたのは二子だった。
「辛い物が良いわ。人数もいるしカレーとか?」
そしてその言葉を聞いた浅葱も答える。
「私も辛い物でいいですけど、せっかくですし得意料理が良いですね。和食だとありがたいのですが」
「私はお米が良し和食賛成!!」
「じゃあ和食だな…………カレー女それでいいか?」
「ちょっと!? 誰がカレー女よ!!」
二子が俺に肘で小突いてくる。地味に痛いがそばに寄ってくる彼女が可愛くて俺はつい笑っていた。
それを見ていた浅葱と光にも小突かれた。待ってくれ、俺はMじゃないんだ。
スーパーで食材を見ながら楽しそうに話す三人を遠目に俺はショッピングカートを押している。みんなが色んなものを籠に入れるのだが、誰が支払いをするのだろうか。
「これいいかしら?」
「百円の三色団子? デザートか? まあいいだろ」
「納豆君! みてくださいこの葱!!!」
「見たぞ…………それ今日使うのか?」
「ねえ納豆!!! こっちのお米よりこのお米の方が安いよ!!!」
「1kgだからな…………隣の5kgより安くて当然だ」
俺は三人のペースに吞まれながらもなんとか買い物を終えて帰り、四人で料理をする。俺は味噌汁の用意をしようとしたところで浅葱が俺を静止する。
「ここは定番の料理対決ですよ納豆君!」
「アニメの見過ぎか?」
なんだかアニメにありそうな展開が始まりそうなのだが、料理をしなくていいのは久しぶりだ。ここは甘える事にしよう。
ただ…………料理対決ということはついに二子が料理をするんだな。…………色んな意味でドキドキだ。
「ちなみに光は料理できるのか?」
俺がそう尋ねると、光は自信満々に答える。
「私は両親の帰りが遅くていつも自分で作ってるからできるよ! ……あまり褒められた腕じゃないけど」
「へえ…………そうなのか」
そういえば昼飯を一緒にすることは多かったけど、こいつ弁当の時もあったよな。
「まあ、そういう事ならお前らが料理するってことで……」
そう言って俺はリビングに戻りスマフォを操作しながら三人の方をチラチラと見てしまう。台所に三人って狭くないのかとか謎の疑問を感じながら、美少女三人が俺の為に料理を作ってくれているという事実は……なんというかこう、いいもんだな。
それから二十分ほどして三人の料理ができたらしいので三人がそれぞれ料理を運んできた。
「私はこちらですよ! お味噌汁です! 毎朝飲みたくなると思います!」
そう言って浅葱が用意した味噌汁は葱とわかめの比較的シンプルな味噌汁だった。だが、浅葱の料理の腕は知っているし、間違いなくこれだけでも旨いものが出来ているだろう。
「私はこっちだよ! 肉じゃが!! やっぱり料理勝負といえば定番だよね!!」
光は肉じゃがの様だ。主菜と汁物がでてきたら二子は何を出す気だろうか。
「これ…………」
二子が気まずそうに俺の前に置いたのは……一パック百円の三色団子だった。
「料理対決?」
「時には選ぶことも料理よ」
こいつは何を言っているんだ。仕方なく俺はご飯をよそい味噌汁から口につけた。味噌汁の具はわかめと葱だけだが、葱の風味が味噌汁によく合っている。
光の肉じゃがは……少し味が濃いけどこれはこれで米が進む。浅葱の葱とわかめの味噌汁はさっぱりしてて食べやすい。これは……負けたな。
そして二子の三色団子……どうしてこれをチョイスしたんだこいつは。
いや、確かにうまいよ? でもさ……これ百円の売ってるやつだよ? 美味しいよ? でもこれ買ってきた奴だよ? しかも俺の金。
「とりあえず二子の負けは確定したとして料理勝負って言ってもなぁ…………浅葱の味噌汁はしっかりと味が感じて良かったし、光の肉じゃがだって白米と相性のいい主菜だったしなぁ」
「納得いかないのだけれど」
「せめて作ってから言え」
「私に作らせてみなさい。さっきのお団子の方が美味しいわ」
「お前少し大人しくしてろ」
少しでも二子の手料理を食べれると期待した俺の気持ちを返して欲しいものだ。
「とりあえず勝者浅葱だな…………」
俺がなんとなくしたこの発言で浅葱がにやりと笑い、光が悔しがった。二子はぐぬぬといった表情で浅葱を見ている。
待て二子。お前に悔しがる権利はない。
「それでは私の言う事を一つ聞いてもらいますね納豆君」
「初耳なんですけど!?」
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