第6話 選ばれし者 6

ーハヤテの家ー


ハヤテは自分の家を案内する

進んだ先にある、一室のドアノブに手を伸ばす

落ち着いた雰囲気のある空間。壁には、本がぎっしりと三方向を覆っている。中心には四角形のテーブルがあり、 そのテーブルを覆うように三脚の椅子。内二つは空席。奥に一人の姿があるだけだ

そう奥に座る彼こそが、ハヤテの父親だ


ハヤテ父「で、こんな時間まで何があった」


何かの作業をしているのか、片やこちらに興味がないのか、父親は紙とにらめっこ


ハヤテ「ブラックベアーに会った」


ハヤテ父「..ったく。あれ程、森の奥深くには近付くなと言っただろ。..まぁ、少しは勉強になっだろ」


息子の行動に多少驚きはしたものの、父親は冷静に返した


ハヤテ「いや、それが浅い場所にいたんだ」


父親は耳をピクリと動かし、先程まで見ていた紙を置き、こちらを振り向いた


ハヤテ父「それは、本と...。おい、そのブレスレットどこで拾った!」


激怒する父を見て、緊張が走る


ハヤテ「え?これは、ブラックベアーのドロップ品だけど」


ハヤテ父「ま、まさか戦ったのか」


ハヤテ「そ...そうだよ」


ドカ


ものすごい音と共に倒れるハヤテ


ハヤテ (何故だろう。それほど痛くない)


アルト「ハヤテ、大丈夫か!」


殴られたハヤテに近くアルト


ハヤテ父「アルトくん、ハヤテを連れてきたのにすまないが、家に帰ってもらえるか?」


アルト「え?え、え、え」


突然の出来事に、アルトはしどろもどろになる


ハヤテ「すまんなアルト。俺は大丈夫だから」


ハヤテの真剣な眼差しにアルトは頷くことしか出来なかった


アルト「わかっ....た」


部屋から出る途中、何度もハヤテの姿を振り返る。アルトはそのままハヤテの前から去って行った


ハヤテ父「座れ」


アルトが部屋から出て数秒くらいか、ハヤテは手前の椅子に、父親は奥の椅子に座った


ハヤテ父「それで何故戦った」


父親は怒りと疑問が混じった声で質問した


ハヤテ「村の方に行こうとしたから」


父親は、先程置いた紙を見ながらハヤテの話しを聞いた


ハヤテ父「先程は、怒ってすまなかった。私はお前のこと大切に思っているだからこそ..」


ハヤテ「こっちこそごめん。父さんが俺を冒険者にしたくないって気持ちはよく分かるし」


ハヤテ父「違う。違うんだ。ただ私は、お前を失うのが怖いだけなんだ。」


ハヤテ「......」


ハヤテ「母さんは、なんて言っていたの」


なんの気なしに聞いた質問。その言葉を訂正しようと思ったのは、ハヤテが話し終えた後だった

父は目に涙を浮かべ、それを隠す様に息子に背を向けた


ハヤテ父「自由に生きろ..と言っていた」


ハヤテ「母さんらしいや」


涙を魔法で乾かし、笑顔を作り、振り返る


ハヤテ父「いや~、しっかしお前も強くなったな」


ハヤテ「実は、俺が倒したわけじゃない」


ハヤテは父親に今までのことを話した。息子から話されたことは、想像を大きく越えるものだったが、納得した


ハヤテの父 (息子が話した。私にとって、それだけで信頼に値するものだ。それに息子の性格だ。もし本当に自分で倒したなら、自分が倒したと言うはずだ)


その親子は笑い合って部屋を出た


部屋に残るは一枚の紙。そこには、とある内容が書いてあった


[魔物の暴走化

原因不明の魔物の暴走、各地で起こる

神の怒りか、はたまた...]


________________


後少しで一万字

このまま第一章完結なるか!?

第二章、三章も頑張っていく予定です

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