第4話 選ばれし者 4

ハヤテ (ここは、何処だ?)


目が覚めると、そこは先ほどまで戦っていた場所。

服はボロボロ、にも関わらず体には一切の傷が無い。ブラックベアーに殴られた傷も、剣を振り回してできた傷も、 包丁で切った傷も、何もかも消えていた。しかし、受けた痛みは脳内で何度も繰り返されている。


ハヤテ (ここまで治してくれんならよ~心も服も治(直)して欲しかったよ)


少し余裕が出てきたのかそんなことを考える。"夢の中"とも考えたが、うつむいている彼の目線の上、数メートル先に落ちているドロップした肉とアイテムが、それを否定している


??「やぁ、こんにちは」


前方から聞こえる声。その声の主を捉えようと、うつむいた顔をあげる


ハヤテ「え?何処...に...いる」


ハヤテの目の前から女性の声が聞こえた。しかし、ハヤテの前に人はいない


??(……あ、そうか!)


スタスタスタ


ハヤテ (足音が前から後ろに、幻聴か? それなら納得だよ。服はこんなボロボロ、なのに俺は生きてる。.....教会に行こうかな)


??「残念~。前じゃなくて後ろでした」


突如後ろから 現れたのは、全身を黒いローブで覆った、、子ども!?

その姿を見たハヤテは、当然の如くドロップ品に指を向けながら、その子どもに質問をした


ハヤテ「あれ...殺ったの..君か」


??「違うよ、ここに来たら お兄さんと これが落ちてたんだよ」


顔を覆う程大きい、黒色のローブを着た子供はスキップをしながら答えた


ハヤテ (そりゃそうか。 こんな子供があんなクマ一匹をまるごと包む炎なんて作れるわけねーよな。そもそもこの年齢じゃあ魔法も使えねえだろうし)


ハヤテ「ん?火はともかく、この治癒は誰がやったんだ」


??「ん~、それは私だよ」


花を触る手を止めて、こちらをじろじろ見ながら答える子ども


ハヤテ「はいはい、凄いですね」


子供の戯言に付き合ってる暇はない、と言わんばかりにぶっきらぼうに 答えた。


??「 信じてないでしょ!」


子供っぽく怒るその子供は、ハヤテのそばに落ちていた1本の木の枝を取ると、魔法を発動させた。


??「ヒール」


辺りから光が漂う。先ほどまで手にあった枝は、もうすでに木にくっついている。 まるで枝が先ほどまで そこにあったかの様に...

その姿を見てハヤテは思わず呟いた


ハヤテ「いったい何歳なんだ?」


ハヤテは後悔した


ハヤテ(いくら見た目が子供っぽいとはいえ、少なくとも16は超えてる。流石に怒るか、、)


ハヤテの期待とは裏腹に怒る声はおろか、声そのものが聞こえない

怪しく思い、顔を上げてみると


ハヤテ「いない..だと...」


先程までいた子供は何処へやら。

静かに辺りを見渡すと、目線の上から風を切る音。 さらに上を見上げると、 先ほどまで遊んでいた子供は、ローブに枝が引っ掛かっているのか、手足をジタバタさせていた。


ハヤテ「............」


ハヤテはただ黙って見ていた。

数秒程度経った頃だろうか、子供の動きはピタリと止んだ。 ローブからは顔が見えないものの、多分目が合っている。


??「助けて...」


たった一言。しかし、一部始終を見ていた彼にとっては十分すぎる言葉だった

精神の痛みがある程度治り、 その子供の真下に移動した


ハヤテ (高さは4メートル位。枝は....切れる!)


ハヤテは先程落とした剣を握り締めて、 思いっきりぶん投げた


ビュン

メキメキ


剣は空を舞い、 木に突き刺さる。

子供は手足を重力に任せ、力を抜く

子供をキャッチしようとハヤテは抱き抱えるポーズをとった。


バキバキ


枝が折れた。ハヤテは両手に力を入れたが、その子供は突然空中で1回転し、ハヤテの顔面を踏みさらにもう1回転し、着地。

恐ろしく完璧な着地を魅せる

呆けるハヤテを見て


??「子供と言ったお礼」


と返した


その言葉を聞いてハヤテはしぶしぶ納得した


__________________

というわけで、ようやく終わった第4話

今回は完全にハヤテメインだったな~

いったい、??の正体とは

あと少しで目標の一万字達成!!

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