夢の話

@ondahirou

アネモネの話

気が付くと真っ白な空間にいた。


ぼやけているような、もやがかかったような空間に、音楽だけが流れていた。




赤いな、と思った。


すると視界がややオレンジがかった赤いもやに変わった。

 

いや、青いな、と思った。

 

すると今度は、濃淡のある青色のもやに変わった。

 

墨のようだな、と思った。

 

赤と青のもやは、水に落とした墨のように沈んでゆき、溶け合い、沈殿し、暗さと淡さをあわせ持つ紫色に変わった。


美しいな、と思った。






気が付くと真っ白な空間に座っていた。

 

顔を上げると心地の良い風が額や頬を撫でていく。目を閉じると尚更気持ちがいい。

 

目を開けると足の先に、小さなアネモネの花が、一凛咲いていた。


美しいな、と 本当にそう思った。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢の話 @ondahirou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る