第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部
さとマル
またひとつ祈りは足され真夜中の流星群は降下してゆく
植物も動物も管あまやかに注がれてゆく熱情がある
月齢の足りない月夜 今日以上未来未満のふたり照らされ
またひとつ祈りは足され真夜中の流星群は降下してゆく
宇宙から滴るものの垂直に透過されつつ立ちすくむ今
向き合えば互いを晒すしかなくて甘噛みのごとく君の手を取る
重心が定まらぬ故ふたりから零れてしまう言葉いくつか
大切なことが一番分からずにまた読み返す記憶のかけら
柔軟な体と思考 突き止めた答えが君に上書きされる
脳内で正しく認めたものだけを手足は再現できる いつでも
舞踏派であるこの身ゆえ手足から先に出てゆく感情がある
接点を求め過ぎれば一対の我らも我と君へと戻る
傷つかぬものなどなくてリハビリのように二人は生かされている
緩やかに滅びはじめて骨肉を繋ぎとめたるこの世のあした
君が月に帰ってしまいそうな夜 満月は明るすぎる星
触れたなら君にはじかれない為の指の角度は祈りの形
昨日とは違う横顔 戻れないことにも慣れて君は美し
地上から逃れられない僕たちが選ぶ舞踏場強く踏みしむ
恍惚が下肢を通して訪れる リベルタンゴの重音の群れ
手を取ればまた歩き出す必然よ運命線を強く重ねて
何度でも新しい夏は来るだろう君の右手を離さないまま
第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部 さとマル @satomaru40
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