第4話
遺跡の奥深くで宝石を手に入れた香織、涼介、そしてアブドゥルは、さらなる調査を続けるためにトンネルを進んでいた。古代の壁画や象形文字が彼らの前に次々と現れ、まだ多くの謎が隠されていることを示していた。
「この遺跡にはまだ何か重要なものが隠されているはずよ。」香織は壁に刻まれた文字を読み解こうとしていた。
そのとき、涼介が突然動きを止めた。彼の顔には緊張の色が浮かんでいた。
「香織、アブドゥル、静かに。」涼介は低い声で言った。
「どうしたの?」香織が耳を澄ませると、遠くから微かな足音が聞こえてきた。トンネルの奥から複数の人影が近づいてくる。
「敵だ。気をつけろ。」涼介は即座に銃を構え、トンネルの入口に向けた。
その瞬間、暗闇の中からBMC(ブラックマーケット・コレクターズ)のメンバーが現れた。彼らは武装しており、涼介たちを襲撃するつもりだった。BMCは、国際的な闇市場で高価な遺物や宝石を取引する犯罪組織であり、そのリーダーであるアレックス・ヴァン・ホルンは冷酷な戦略家で知られていた。
「香織、後ろへ!」涼介は香織とアブドゥルを守るために前へ出た。彼の目は冷静で、手は一切の迷いもなく銃を握っていた。
「ここで終わりにさせるものか。」涼介は心の中で決意し、引き金を引いた。銃声がトンネル内に響き渡り、敵の一人が倒れた。
しかし、BMCのメンバーは数で勝っていた。彼らは次々と涼介に向かって弾丸を放った。涼介は巧みに避けながら反撃し、その卓越した銃の腕前で敵を一時的に撃退した。
「涼介、まだ来る!」香織が叫んだ。
「わかってる!」涼介は再び弾を込め、的確に敵を撃ち続けた。しかし、敵の数は多く、全てを撃退するのは困難だった。
「ここは撤退するしかない。」涼介は判断し、レベッカとアブドゥルに合図を送った。
「急いで!こっちだ!」香織はトンネルの別の出口を指差し、涼介たちを導いた。彼らは全速力で走り、敵の追撃を避けながら進んだ。
「大丈夫、ここから脱出できるわ。」香織は冷静に状況を把握し、全員を安全な場所へ導いた。
「香織、涼介、ありがとう。君たちがいなければ、どうなっていたかわからない。」レベッカは息を切らしながら感謝の意を表した。
「まだ終わっていないわ。BMCの連中は諦めないでしょう。」香織は決意を新たにした。
「そうだな。でも、俺たちは必ずこの謎を解き明かしてみせる。」涼介も同意し、銃を再びホルスターに収めた。
ナイル川の秘宝を巡る冒険は、まだ終わりを迎えていなかった。香織と涼介は、BMCの影に立ち向かいながら、さらなる試練に挑む覚悟を決めた。彼らの前には、まだ多くの謎と危険が待ち受けていたが、決して諦めることはなかった。
「行こう、次の手がかりを見つけるために。」香織は力強く言い、再びトンネルの奥へと進んでいった。涼介もその後に続き、レベッカとアブドゥルも彼らに従った。
トンネルの奥深く、さらなる謎と宝石の秘密が彼らを待っていた。
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