【完結】ナイルの秘宝
湊 マチ
第1話
エジプトの美しい夕日がナイル川を照らし、豪華客船はアレクサンドリア港に静かに入港した。海面に反射する夕陽の光が黄金色に輝き、港全体を神秘的な雰囲気に包んでいた。船の甲板から見下ろすと、石畳の道や古い建物が並び、歴史の深さを感じさせる街並みが広がっていた。
港にはレベッカ・ブラックが待っていた。彼女は船を降りる香織と涼介に笑顔で手を振った。レベッカの背後には、エキゾチックな市場や商店が立ち並び、エジプト特有の香辛料の香りが漂っていた。
「香織、涼介、お疲れ様。無事に到着できて良かったわ。」
レベッカは香織と涼介をそれぞれ抱擁し、温かく迎えた。彼女の表情には、再会の喜びとともに次なる冒険への期待が溢れていた。彼女の背後には、ナイル川の穏やかな流れが広がり、古代エジプトの遺跡が遠くに見えた。
「レベッカ、久しぶりね。さっそく話を聞かせてくれる?」香織は好奇心に満ちた瞳でレベッカを見つめた。
「もちろん。詳細は車の中で話すわ。急がないと、調査の時間が限られているの。」
三人は車に乗り込み、ナイル川に向かって出発した。車内でレベッカはエジプトの最新の発見について説明を始めた。車窓からは、砂漠の風景とパピルスが茂る湿地帯が交互に広がり、エジプトの多様な自然が目を楽しませた。
「ナイル川沿いで、古代エジプトの遺跡が新たに発見されたの。そこで見つかった宝石には特別な力があると言われているわ。でも、その場所には数々のトラップが仕掛けられていて、プロの手助けが必要なの。」
藤田は前の座席から振り返り、真剣な表情でレベッカの話を聞いていた。彼の視線は時折窓の外に向けられ、遺跡のある砂漠の風景を眺めていた。
「トラップか…。それに対処するための装備はあるのか?」
レベッカは微笑みながらうなずいた。「もちろん。地元の考古学者アブドゥル・ハキームが協力してくれるわ。彼は遺跡の専門家だから、トラップについても詳しい。」
香織は窓の外の風景を眺めながら、ナイル川とその流域に思いを馳せた。広大な砂漠が広がる中、所々に古代の遺跡が顔を覗かせ、その神秘的な雰囲気に彼女の胸は高鳴った。彼女の心には、未知なる冒険への期待とともに、古代の謎を解き明かす興奮が高まっていた。
「さあ、ナイル川の秘宝を探しに行きましょう。」
香織の言葉に、涼介とレベッカも力強くうなずいた。車はナイル川沿いの道を進み、夕暮れの美しい景色の中、彼らの冒険が静かに幕を開けた。ナイル川の流れは静かで穏やかだったが、その底には数千年の歴史と無数の秘密が眠っているように感じられた。
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