いつの日か

菫野

いつの日か

放物線えがいて届く絵葉書にかくれた星が宙返りする


なにほどか逃れたき夜は薔薇のタトゥーシール鎖骨にそと貼りつける


ひとに髪洗ひてもらふときにのみ宇宙ひろがりやまぬを憂ひ


冬の森こころに置いてしんしんとくづすフランクフルタークランツ


恋の洞見たことがないひとたちとくらげの海にゆく夢を見る


ことばたち捉えがたかり内庭に真白い鳩舎われは持つべし


冷蔵庫に星をならべてうすあをき卵かすかにひかり帯びたり


タイムマシン今日も着かざる人類はほろびるさだめと少女は言ひき


肺胞に星が触れくるビンゲンのヒルデガルトを聴きし夜はも


ワンピースに夜をひろげていつの日か猫と出てゆく絵の裏側へ

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いつの日か 菫野 @ayagonmail

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