安息

みんと

安息


がんばってなくてごめんねまっくらな正午をふさぐ医師のおりがみ


独りきりからか人形抱くようにベッドにいつも再生リスト


死ぬためにお米を炊いて干していた毛布を抱いてだれかと暮らす


「休んでも良いんだよ」でも幽霊の皆勤賞がまだそこにいる


原石として磨かれたはずなのに破片のわれとして目が覚めた


声色がなめらかなまま頬だけは雨と雷、じゃあもう切るよ


電球が照らす瞼に失敗の走馬灯たち さよなら、せんせ


「ほんとはね」、寝言で起きる週末はすべて断線してるゆうやけ


おつとめのなすに我が身をかさねたりもっと若いとおもっていたね


まどろみの腹に打ち込め五寸釘 学校サボって止まる日時計


ポスターのあかい(募集!)がつらぬいた負い目よ二才年をとりつつ


頑張っちゃダメなんですよって言われた帰りに一駅分だけ歩く


イヤホンと西日の窓に揺られゆく耳にまばゆい失恋のうた


もうなんも言えず言いたいことも無くそれでも掴むベルトのしっぽ


勤労のひとを後目にソーダ水頼む緑のくせに甘いな


ごぼごぼと顔を照らされ沈没の待合室で観る走馬灯


暗いからまだ夜だって分かっちゃう季節と離別だけやってくる


獏 いつも悪いね夢をみる前にぜんぶやらかし味にしちゃって


だいじょうぶ大丈夫空んじてばかりだった言葉を目を見てはこぶ


許可もなく繁殖したるプラごみを拾いひとさじ許そう われを

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安息 みんと @satogeko

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