第11話 大きな種

俺は大工さんを訪ねた。


「おぅ、兄ちゃん!

そんな所でぼさっとしてると、木材に轢かれちまうぞ!」


大工さんの家の前を行ったり来たりしていると、棟梁らしき人物が声をかけた。


「あ、あ、あのぉ!!!」


「何だい?

ウチに用があるのか?」


「店を建てて欲しいんですけど…」


「ふむ…


まぁ、中に入りな。」


そして、大工さん宅に入った。


「店と言っても色々あるしなぁ。

どんな店を建てたいんだい?」


棟梁は切り出す。


「いや、普通のレストランなんですけど。

厨房があって、客席があればあとは特に注文はありません。」


俺は答える。


「なるほど。」


「ただ、辺鄙な場所に建ててほしいので…

木材を運んだりが大変かと…」


「どの辺なんだい?

地図で言うと?」


棟梁は地図を広げた。


俺は一点を指差す。


「そこかぁ…!

確かに木材を運ぶのに大型の馬車が必要だなぁ。

まぁ、180万ゴールドぐらいかな?」


棟梁はそろばんを弾いた。


「お願いします!」


俺は契約書にサインして、前金50万ゴールドを支払った。


そして、帰りながら、ふと考えた。


俺のスキルで木を生やせ無いのか?と。


屋敷に帰るとリアーナの元に行った。


「なぁ、リアーナ。

木の種とか落ちて無かったよな?」


「あら、あるわよぉ!

そろそろ植えてみようと思ってたところなのよ!


木の種と、大きな木の種があるのよねぇ。」


俺たちは外に出て、木の種を一粒植えてみた。

俺が土に手を当てると、立派な杉の木が生えた。


これは…


「リアーナ!

やりたい事があるんだ!」


「何々ぃ?」


「この中心の屋敷と畑の区はさ、丸裸で柵も何も無いだろ?

だから、木で塀を作ったらどうだろうか?」


俺は言う。


「なるほどぉ!

杉を並べて、塀にするのねぇ!」


リアーナ。


「いや、もっと良い方法があるよ…」


俺はにんまりと笑ってそう言った。


だいぶ読み進めた地球図鑑に、ハイペリオンの木という地球一の長木がある。

平均の高さはなんと、80メートルにもなるのだ。


もし、ハイペリオンの木を中心区のエブリファームの塀に出来たら…

きっと誰も侵入出来ないはずだ…!


俺はリアーナから大きな木の種を5粒もらい、エブリファーム区の外側に植えた。

土に手を当て、植物スキルを発動する。


      ↓














ハイペリオンの木が生えた。

まだ、50メートルほどの高さだが、充分だろう。


「うわぁ!

すっごいわぁ!

これを、塀にぐるっと植えていくわけね!」


リアーナ。


「そう言うこと!」


俺たちは3日かけて、50メートルのハイペリオンの塀を作った。


そして、ちょうど3日後カレー店の工事が始まろうとしていた。

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