愛される媚薬

由比ヶ浜崇子

第1章 媚薬の少女 第1話 別れは喜劇の始まり

 「愛しているのよ。愛しているのよ。・・・」


 何度も泣きながら叫び続けた。

 その娘の名前は優子。まだまだ無邪気な16歳だ。

 優子は20歳年上の占い師と付き合っていたが、一方的に別れを告げられて・・・

 川岸に向かって思いの丈を叫んでいたのだ。


 「何を叫んでいるんだい?」


 後ろから優子の肩を叩いたのは見知らぬ老婆だ。


 「そんなにも愛されたかったら、いいモノをあげよう。」


 そう言い残すと薬のようなカプセルが入った巾着袋を優子に渡し、


 「『愛されたい』と思った時、1錠お飲み。願いが叶うよ。」


 老婆はその場から立ち去った。


 この時から優子の恋愛喜劇が始まった。


 

 

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