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あの闘技会から数日が経ち、夏休みに入ろうとしていた。
俺は相変わらずクラスで孤立中である。
だが、安心して欲しい。
鮫島も俺と同じぼっちだ。
それにしても、クラスの連中に闘技会からさらに俺と距離をとられるようになった。
泣くぞ?
それは冗談だが…
ちょっとまずい、状況なわけだ。
なぜかと言うと、夏休み中俺たち一年は強化合宿がある。
その時、俺らのクラスは全員で41人。
ちょうど6人グループが7個できる。
でもこのままいけば、俺と鮫島の二人グループになってしまう。
「んじゃお前ら、勝手に分かれろ」
ああ、始まってしまった。
今現在、6限目LHR。
この時間で決めるらしい。
すでにクラスでグループはできているので、みんなすぐに固まる。
あぶれたのは、俺と鮫島と男ひと…二人と女二人のみ。
誰だ貴様ら!!
「あがががが…!!雲雀丘と鮫島…?無理だよ〜!!殺されるって〜!!!!」
1人の男が泣き叫んでいる。
聞こえとるぞ〜??
「お前らさっさと集まれ」
竜胆にそう言われてしまったので、仕方なく歩み寄ろうとした瞬間。
「ひぇぇぇ…!?!?」
めちゃくちゃ怯えられた。
怖がられすぎて草。
そんな怖い?
こんなに性格もいいしイケメンだしなんでもできる俺だぜ?
あ、逆に怖いのか。
もう、俺ってば…
ハイスペックすぎっ!!
「痛っ!?」
鮫島に足を踏まれた。
「なにすんだよ!!」
「アーナンダーオマエイタンダー。キズカナカッタワー」
はい、ダウト。
演技下手くそめ!!
「教室割るぞ?」
「やめろ」
「はい」
竜胆に怒られちった。
命拾いしたな、鮫島!
「集まったな。んじゃ、強化合宿の説明をする」
俺らも集まった。
集まったけど……
ソーシャルディスタンスかっ!!
等間隔で各々離れてる。
なんで?????
「まず、え〜強化合宿とは…?」
めっちゃ、カンペ見てて草。
「生徒個々人の実力を高め、よりハイレベルな環境を作る…?………は????」
うわ、見たことないぐらい顔を顰めてる〜…
「あ〜、もういい。簡単に言うと、お前らにはこの七日間体づくりをしてもらう」
初めからそう言えよ。
「あとは紙を見ろ。以上」
「えっ」
終わった…?
適当すぎだろ!!
ま、いっか。
強化合宿についてのしおりに書いてるのはこうだ。
まず、毎朝六時半起床。
三十分の準備期間ののち、七時朝食。
八時まで自由時間で、それから十二時までランニングやら筋トレやらの自主トレを行い、昼食。
そっから、十四時半まで自由時間からの十八時までさっき作ったグループで、なんかする感じだ。
なんか、最終日にグループ対抗戦をするらしい。
「「「「「………」」」」」
さて、誰も話そうとしなければ動く気配すら感じ取れない。
チームワーク以前の問題では??
まぁ、別に俺一人で全員倒せるけど……
果たしてそれはいいのか?
とりあえず、大まかな内容は理解した。
俺は紙をめくり、次のページを開く。
そこには色々な注意事項やルールが書かれている。
例えば、夜二十二時以降は外出禁止とか、寝坊したら自主トレ一時間プラスだったりとそんな感じだ。
簡単に読み進めていると、やばいことが書かれていた。
グループ対抗戦において、最下位のグループはいかなることがあろうと退学である。
やばすぎ…!!
しかも、何がタチ悪いって、チームワークを問われてる。
つまり、グループ対抗戦での勝敗は関係なくチームワークの良さで順位決めされる。
え〜…終わりです。
この状況を見てみろ。
「「「「「………」」」」」
俺らのグループ、最下位最有力候補やぞ絶対。
他の奴らもこの文章を見つけたのか、微動だにしないわ、虚な目をして現実逃避してるわ、頭抱えて転げ回ってるわでもうめちゃくちゃだ。
ちな、鮫島はと言うと……
「フッ……」
澄ました顔をしてやがる。
なんだこいつ?
「とりあえず……自己紹介しない?」
「あ「「「「………」」」」ぅぅ……」
おい、負けるなよ。
あとなんか言えよ!!
すると、メガネを掛けた真面目そうな女が口を開いた。
「私は、
「なんで????」
いきなり自己紹介始めたかと思えば、俺のこと敵視されとるんやが?
マジで、今回は馴れ合ってくれ。
「そんでこいつが……」
「は、初めまして!
なんだろな〜……
正直言って、花咲はつまらんな。
否定してるわけじゃなくて、ただ単にそこらにいる有象無象と変わらんということだ。
これはこれで酷いか。
「はい、次はあんた」
「ぼ、僕…?」
氷室が次に指名したのは、さっきから転げ回っている見た目は存在感が薄そうな男。
見た目はな。
「あ、えっと……
「あ゛?」
「ひゃぁっ!?ごめんなさいごめんなさい!!!食べないで〜!!
HAHAHA!
いいおもちゃ見つけた〜!!
「うぅ…僕もう終わりなんだ……人生終わりなんだ〜!!」
言い過ぎな?
そこまで鬼畜じゃないぞ?
多分。
「あんたちょいとうるさいわ…」
「…ふぇ?」
白井の後ろにいつのまにか立っていた男に、俺はなぜか違和感を抱いた。
「さてと……あんたが雲雀丘蓮やな?」
「そうだけど…?」
読めねぇ…
なんだこいつは?
なぜこの学校はよく分からんやつが多いのだろうか…
そもそも……いや、なんでもない。
「それはそれは、お初にお目にかかるわ。自分、
俺はこいつに言葉にできない不気味さを感じた。
俺は榊原にこの違和感を聞くことにした。
「なぁ、榊原」
「彗って呼んでって言うたやん…」
「お前…このクラスにいたっけ?」
それを聞いた榊原は、驚いたのか目を見開き静止する。
「ほ〜…さすがやな〜。うちのボスが認めるだけあるわ」
そして、不気味な笑みを浮かべるのだった。
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