第6話 村への帰還と新たな提案

洞窟での治療が終わり、太郎とリリーは黒い龍と共に村へと戻ることにした。


メスの龍はまだ完全に回復していないが、オスの龍が彼女を支えながら慎重に歩いていた。


「ありがとう、太郎さん。あなたのおかげで彼女は助かった。これで我々も少し安心できる。」


太郎は微笑みながら頷いた。


「これからも困ったことがあれば協力するよ。もふもふ動物の肉以外なら準備しましょう」


リリーも優しく言った。


「あなたたちが無事で本当に良かったわ。」


しばらく歩いていると、村の境界が見えてきた。


しかし、村の人々は突然現れた巨大な龍に驚き、大騒ぎになっていた。


「なんだ、あれは…!?」


「きゃー!!」


「龍が村に…!?逃げろ!!!」


混乱が広がる中、太郎は大声で叫んだ。



「落ち着いてください!この龍は敵ではありませーん!」


村人たちが太郎の声に気づき、徐々に騒ぎが収まっていった。


「太郎さん!?どうして龍が…?」


太郎は村人たちに事情を説明し始めた。


「この龍たちは、森の奥で出会った私の友達です!彼らは悪い生き物ではありません。怪我をしたところを助けただけなんです。」


村人たちは太郎の説明を聞き、少しずつ理解を示した。


「太郎様のいうことなら...落ち着こう。」


「太郎さんが言うなら信じます。」


「本当...?」


その時、黒い龍が太郎に向かって低く唸った。


「太郎、ここで別れる。ありがとう、また会おう。何かあれば助けになろう。我が困った時は、またよろしく頼む。」


太郎は龍に向かって深く頭を下げた。


「こちらこそ、ありがとう。またいつでも来てください。」


黒い龍は静かに空へ舞い上がり、元の洞窟へと戻っていった。


村の人々はその光景を唖然と見送り、太郎に感謝の言葉をかけた。


「太郎さん、本当にありがとう。あなたのおかげで村は守られました。」


リリーも微笑みながら太郎に言った。


「あなたは本当に凄い人です!」



その後、太郎は再び長老の家を訪れた。


長老は太郎の功績に感謝の意を示した。


「太郎殿、あなたは本当に素晴らしいことを成し遂げました。我々の聖獣を助け、さらには、村を守ってくれたこと、心から感謝します。」


太郎は謙虚に答えた。


「ありがとうございます、長老様。でも、これは僕一人の力ではありません。リリーや村の皆さん、そして黒い龍たちのおかげです。」


長老は深く頷き、真剣な表情で言った。


「太郎殿、あなたの功績を称え、私たちはあなたを族長なって頂きたいと。まぁ、私もそろそろ隠居ですしこの村を導く者として、あなたの力を借りたいのです。」



話し合いのうえ、太郎は驚きながらも、その提案を受け入れることに決めた。


「ありがとうございます、長老様。皆さんの期待に応えられるよう、精一杯頑張りたいのですが..!」


長老は満足げに微笑んだ。


「それでは、正式な儀式を執り行いましょう。太郎殿、あなたの新たな役割を祝福します!」


「あの....お世話になってる村に仕事がありますし...」

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