第3話

勇太は意識を取り戻すことなく、

そのまま亡くなってしまった。


勇太の死は、僕たちに大きな衝撃を与えた。

古民家の鏡のせいなのか?

それとも、単なる偶然なのか?


拓海は、あれから塞ぎ込んでしまって、

あまり学校に来なくなってしまった。

僕は、拓海に宿題のプリントを届けたあと、

また古民家に再び足を運んだ。


勇太を救えなかった悔しさ。

そして、鏡に映った自分の姿への恐怖。

その恐怖に立ち向かうためには、

あの鏡の真実を知るしかないと思ったんだ。


荒れた古民家の中にひとりで入る。

問題の鏡に向かう途中で、古い日記を見つけた。


日記には、かつてこの古民家に住んでいた一家が、

鏡の中に閉じ込められたという恐ろしい物語が書かれていた。


鏡に映る少年は、その一家の子どもだった。

そして彼は、鏡に封印された存在、いつきと名乗っていた。


いつきは、鏡の中に閉じ込められたまま、

助けを求めているようだった。

僕は、いつきを救いたいと思った。

でも、どうやって?


その晩、僕は悪夢を見た。

鏡に近づけば近づくほど、鏡の中のいつきが、僕に近づいてくるという悪夢だった。

いつきが伸ばした両腕が、僕の体を包み込む。

いつかは僕自身も、鏡に閉じ込められてしまうんじゃないか。

そんなことばかり考えるようになってしまった

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