転生ヒロインはヒロインを辞退させてもらえない
あるる
第1話 ヒロイン?ナニソレ?
乙女ゲームに転生、良くあるお話し。
でも、まさか自分がその登場人物になるとは思って居なかった、それもまた良くあるお話し。
そして何故かモテまくるヒロインには裏があるって言うのも良くあるお話しだけれども!!
私も何番煎じよ?とか思っていました。
この世界が乙女ゲームの世界だと気付いた時には半分詰んでるなんて。
私の名誉の為に言っておくと、誰も攻略してません。
誰も攻略しようともしてません!!!
ここ、本当に大事です!
私から攻略対象の方々に近づいたことはないのです!
なのに、なのに・・・ どうしてこうなったの?!
私の声にならない叫びを隠し、懸命に牽制するのは煌びやかな男性たち。
そう、「たち」。5人に囲まれて、私は今学園のカフェテリア近くのガゼボで身動き取れず真っ青のまま立ち往生しています。
普通に男性5人に囲まれるだけでも怖いのに、全員自分よりも格上のお家の方々で無理やり逃げることもできない。
本当に誰か助けて、今こっち見て私と目があった瞬間逃げて行ったクラスメイトの男子、恨むぞ。そこで嫌味言っているのが丸聞こえの令嬢方も、この状況ちゃんと見て!私、全然、全く、これっぽちも喜んでないです!!
「あ、あの・・・」
「なんだい、麗しいアマリリスの君?」
やめろ、寒い!と思うが相手は公爵子息だ、とぐっと我慢して続ける。
「も、申し訳ございません、がっ!!
私、こちらで友人たちと約束をしておりますので・・・」
「そんな事か。良い、お前の友人達にも同席を許そう」
そう、傲慢に仰るのはお偉いお偉い王族サマ。第二王子殿下でいらっしゃいますが、そうじゃないんだ!!!
マジで!!
「いえ、あのそうではなく・・・」
本当に空気読んでくれないだろうか?と言うか、何故自分はこんな状況に陥っているんだろうか、ただ友人たちと楽しくランチするためにこのガゼボに居ただけだったのに・・・、と思考が現実逃避していると美しい令嬢の声がした。
「殿下、それに側近の方々が令嬢一人を囲んで、一体何をなさっているのでしょうか?」
「いけませんわ・・・ 私たちの友人、リリアナ様が泣きそうではありませんか。
高位貴族の殿方ともあろう方々が、まさかリリアナ様を虐めていらっしゃいますの?」
神は私を見捨てなかった!!!嬉しさのあまり涙が出る。
「ミリアネア様!フランルージュ様!」
突然割って入って来たお二人は私を引き寄せると、殿下たちを追いやった。もちろん殿下を始め男性のみなさまはタジタジな上、顔色も非常に悪い。
そして、彼らの災難はまだこれからだった。
「まあまあまあ!最近はわたくしたち婚約者との約束は無視したりすげなく断っております殿方たちが・・・
まさか、わたしくたちの友人に侍っていらっしゃるなんて~」
「控えめに言って最低だな」
「ええ、最低ですね。しかも嫌がるリリアナ様を泣かせて。」
第二王子殿下含め5人の男性はもう真っ青である。何やら口々に言い訳めいた事を言っているが、私にとってはもはやどうでもいいし聞きたくもない。
そう私が待っていて、私を助けてくれた令嬢5人は彼らの婚約者であり、ゲーム内においてはライバル令嬢たちで、私の憧れの方々だ!
「アリアンローズ様、ティティリエ様、ファナ様!」
彼女たちは遅れた事を謝りつつ、冷たくそれぞれの婚約者には「邪魔しないでくださる?」「家に報告しておきますわね」「まだ居たのか」「お呼びじゃないのが分かりません?」「機微に疎くなられました?」と言い、男性方は完敗して逃げるようにようやく去って行った。
やっと、落ち着きを取り戻したガゼボで令嬢6人の賑やかなお昼が始まる。
5組の婚約者たちを振り回す悪女だとか、学園七不思議の1つとか失礼な噂はもちろん私の耳にも、一緒にいる令嬢方にも入っているけれども。
令嬢同士が仲良しでもいいじゃない!と本当は声を大にして言いたいけれど、公爵令嬢、侯爵令嬢、伯爵令嬢2人に爵位以上に有名で実績のある子爵令嬢と一緒に居る、分不相応な令嬢だと妬みが大半だと分っているので言えません!!
本当に、ただの男爵令嬢でしかない
と言うか、絶対キャストミスだと思うのでヒロインの座を辞退させていただきたいのですが!神様!!
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