第15話 ライブ配信?

 今の声は、間違いなく茜ちゃん本人だろう。

 てっきりギルドに入った時は見かけなかったから、まだ来ていないとばかり。


「タケルさんおはよう!!」

「おはよう茜ちゃん。今日も元気だね」

「うん! 早速ダンジョンに行こう」

「えっ、付いてくる感じなのかな?」

「もちのろん」


 合流した俺と茜ちゃんはダンジョン【秋ノ奏】で探索を開始した。以前、俺と彼女が出会った場所――巨木まではそう時間は掛からなかった。

 それもこれも朝早いのもあって魔物の活動時間ではないからだ。そんな情報をどこで?とも思うかもしれないが、こう見えて茜ちゃんは色々と情報通なのだ。


「みんな朝早くにごめんね〜! 皆愛茜のライブ配信始まるよ〜!」


 こんな感じで朝からテンションが高い。

 しかしさっきからスマホに語り掛けてるだけで、俺との会話はほとんどない。


 これダンジョン一緒に潜った意味あるのか?


 まあいいか、彼女も彼女なりに楽しくやってるようだし、でもライブ配信って何だ? 


 所謂、若い子がよくする自撮りみたいなものだろうか?


 う〜ん、おっさんの俺にはわからない世界だ。


「スパチャありがとう! みんな親切だね大好き!!」


 スパチャ? もう本当にわからない。

 そもそも日本語なのか?


「そうだよ! 今、頼りになる探索者さんとダンジョン潜ってま〜す」


 頼りになる探索者さん……それは俺のことか。

 でも一体さっきから誰と会話して……。


 俺は茜ちゃんのスマホを覗き込んだ。

 スマホの画面に表示されていたのは、俺自身の顔と一回り小さい彼女の顔。こんなにも俺、顔でかいのかと驚きを隠せなかった。

 それに何やら次々と文面が送られて来ているみたいだ。


「タケルさん顔出ししちゃって大丈夫?」

「顔出し? 何のことか……」

「顔出しって言うのはライブ配信で――」

「そもそもライブ配信って?」

「あちゃ〜そこからね。ライブ配信っていうのはこういう動画配信サイトでリアルタイムで動画を撮って画面の向こうのみんなに見てもらう、みたいな感じかな」

「へぇ〜すごい時代になったんだな」


 もう一度画面を覗き込むと、少々コメント欄が荒れているようで、


〈おっさんはお呼びじゃねえ〜〉

〈僕たちの皆ちゃんを返せ!〉

〈てか、おっさん顔デカくね?〉


 どうも画面の向こうの方々はあまり民度はよろしくないみたいだ。まあ、確かに憧れの彼女が誰かもわからないおっさんと一緒にいると思えば、ファンとしては少しばかり許容できない部分も出てくるのだろう。

 しかし悪いおっさんでないことだけは伝えたい。


――――――――

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すっげー嬉しい、それにジャンル別週間ランキングももう少しで100位以内に!!


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