第1話 帰還したおっさん

 気づけば懐かしい光景が広がっていた。


「ここは……戻ってきたんだな」


 床にはスーツや衣類が散乱し、白い壁一面にはアニメのポスターが貼られている。棚に並べられたフィギアを見ると改めて実感してしまう。


「15年経っても変わらないもんだな」


 思わずそう呟いた。

 本当に元の世界に帰還したと実感できたからだ。

 

 しかし外の空気を吸おうとベランダに出ると、変わり果てた現代の光景も広がっていた。剣を背負い鉄の胸当てをした男性、ほうきに乗った魔女の格好をした女性。

 それにワイバーンみたいな魔物が空を悠々と飛んでいるのだ。

 それにあの巨大な穴は何だろうか?

 

 俺が目にしたのは現代の変わり果てた姿そのもの。ベランダから見える範囲だけ外を見ると、もはやさっきまでいた異世界にそう変わりない。

 しかし建物などを見るとやっぱり現代なのだと納得してしまう。


「ひとまず外に出てみようかな」


 重っ苦しい鎧を脱ぎ捨て、押入れに仕舞っていた私服に着替える。パーカーにジーパンを履いてるだけのセンスが微塵も感じられない格好で外を出歩くのは久々だった。

 こんな変わり果ててるなら交通機関もどうなってることやら……と思っていたが、飛行機はもちろん電車や車は健在だったようで驚いた。


「おいおい聞いたか? 例のアイドルがまたダンジョンに潜ったってよ」

「探索者を誰一人付けないとか頭おかしいだろ」

「そうそう、ダンジョンコア狙ってるんだと」

「ぜってぇ無理だろ!!」


 歩いてたらこんな噂話も耳にするものだ。


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