転生した元アイドルはヲタクの夢を見る

市ノ瀬茂樹

第1話プロローグ:ふるさとへ続く道

パチパチ、ピチリ

パチパチパチ


街道から外れた草原でミズキは焚き火を見つめていた。


横に寝転んでいるフォレストウルフのウララの頭をなでながらノンビリしているのがミズキの癒やしの時間。


薄くひろげた魔力には魔獣の気配は無い。ミズキよりも気配察知が上手いウララもダラーっとしているから安心してくつろげる。


辺境の村で代官兼守護隊長をしているお父さんが、魔物の森から連れ帰ってきたフォレストウルフの母狼と三頭の子狼の中で、身体が小さくてメスのウララはミズキのことを妹と思っているのか、ミズキがヨチヨチ歩きを始める頃から常に横にいてくれている。


旅の道連れはもう一匹、アサシンキャットのミミ。


草原のどこかでホーンラビットかフォレストラットを狩っているんだろうなぁ。


夜が開けはじめてあたりが明るくなる頃に、ズルズルと獲物を引きづりながら『ニャ~ン(朝飯獲ってきたゾー)』とドヤ顔で帰ってくる。


ラビットやラットはいいとして、ヘビを持ってくるのは勘弁してほしい。まだニョロニョロ動いているヘビを目の前に放り出されたときには、少ーしチビッちゃったw。


「ミミ!、ヘビいらない!。もう持ってこないで!!」


私が目を三角にして睨みつけても『ニャニャ(ハイハイ、わかりました)』と言いながらそっぽを向いて後ろ足で耳の後ろをかいていた。

アレはスキあらば獲ってくる気マンマンだな。まぁ皮が売れるからいいし、ミンチにして肉団子を作り、スープに入れると美味しいんだけどね。


だんだん眠くなってきたので、焚き火に薪を足してから、ウララのお腹にもたれかかって身体を横たえる。


ナックルガードをつけた刃渡り30cmのナイフを軽く握りながら目を閉じて、眠る前の習慣になっている魔力循環を始める。

口でゆっくり息を吸いながら、おヘソの奥にある魔力溜まりから身体のすみずみに魔力をめぐらせていると、意識が身体から離れてふわっと浮いて、焚き火と私とウララが下に見えて、草原の先にふるさとに続く街道が見えてきた。

まだ赤ん坊の頃に身体から意識が抜け出たときには「死ぬの?、死ぬの?。また死んじゃうのおー??」と焦ったけど、実際にはそんな感覚になるだけで、幽体離脱しているわけではないみたい……知らんけど。


ふわふわと浮いている感覚を楽しみながら、この世界に生まれ変わったときのことをなんとなく思い返し始めた。


ーーー


初めての投稿です。ストーリーや設定を考えながらの投稿になりますので、長い目で読んでくださると嬉しいです。

















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る