第19話

釜山の街は昼下がりの活気に包まれていた。香織と涼介は、パク・ジュンホ探偵と共に捜査を続けていた。東洋宝石の防犯カメラ映像と従業員の証言を基に、犯人の逃走経路を特定する手がかりを探していた。


「犯人がどうやって逃げたのか、その経路を見つけることが重要だ。」ジュンホ探偵が冷静に言った。


「まずは防犯システムの点検業者を調べ、その後、逃走経路を追跡する必要があります。」香織が提案した。


三人は防犯システムを点検した業者を訪れ、従業員にインタビューを行った。彼らは業者の背景を調査し、特に不審な動きを見つけるために詳細な情報を集めた。その中で、特定の日に異常な点検が行われていたことが判明した。


「この日が問題ですね。その日に何か特別なことがあったのでしょうか?」涼介が業者の担当者に尋ねた。


「実は、その日は新しい従業員が点検に来ました。普段は別の担当者が行っているのですが、急な変更でした。」担当者が答えた。


「その新しい従業員についての情報を教えていただけますか?」ジュンホ探偵が尋ねた。


担当者から得た情報を基に、新しい従業員の背景を調べると、その人物が過去に犯罪歴があることが判明した。三人はその情報を元に、さらに捜査を進めることにした。


捜査の途中で、香織と涼介は古い地図を手に入れることになった。その地図は、釜山の地下道に繋がる詳細なルートを示していた。


「この地図は重要な手がかりかもしれない。」香織が地図を広げながら言った。


「確かに、犯人がこの地下道を利用して逃げた可能性がありますね。」涼介が同意した。


「では、この地図に従って地下道を探索しましょう。」ジュンホ探偵も決意を新たにした。


三人は地図を手に、釜山の地下道の入口へと向かった。地下道の入口は古い建物の裏手にあり、普段はほとんど使われていない場所だった。


「ここが入口です。気をつけて進みましょう。」ジュンホ探偵が慎重に言った。


地下道の中は薄暗く、冷たい空気が漂っていた。懐中電灯の光だけが頼りだった。三人は地図を見ながら、ゆっくりと進んでいった。


「この地下道は迷路のように複雑ですね。」涼介が呟いた。


「確かに、犯人が逃走に利用したとすれば、非常に計画的です。」香織も同意した。


進むうちに、地下道の壁に奇妙な記号や矢印が刻まれているのを発見した。


「これらの記号は何かを示しているのかもしれません。」ジュンホ探偵が言った。


「地図と照らし合わせてみましょう。」香織が地図を広げた。


記号と地図を照らし合わせると、それらが地下道の特定のルートを示していることが分かった。三人はそのルートに従って進んでいった。


「犯人がこの道を通った証拠があるかもしれない。」涼介が注意深く言った。


地下道の奥深くに進むと、そこには古びた扉があった。その扉は鍵がかかっており、周囲には錆びついた道具が散乱していた。


「この扉を開けるには、何か道具が必要ですね。」ジュンホ探偵が言った。


「道具を探してみましょう。」香織と涼介は周囲を調べ始めた。


しばらくして、香織が古い工具箱を見つけた。その中には錆びついた鍵といくつかの道具が入っていた。


「これで開けられるかもしれません。」香織が鍵を手に取った。


鍵を使って扉を開けると、そこにはさらに奥へと続く地下道が広がっていた。道の先には、犯人が逃走に使用したと思われる痕跡がいくつか残されていた。


「ここが犯人の逃走経路だったのでしょうか。」涼介が言った。


「この先を調べてみましょう。何か重要な手がかりが見つかるかもしれません。」ジュンホ探偵が提案した。


三人はさらに地下道を進み、犯人が残したと思われる痕跡を追い続けた。地下道の中での探索は困難を極めたが、その先には真実が待っていると信じて、香織と涼介は決して諦めなかった。


こうして、釜山の地下道での重要な手がかりを追いながら、三人は事件の真相に迫るための新たな一歩を踏み出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る