警告
天野 みろく
第1章 千歳烏山
今から約30年前の話しである。
当時私は海洋土木の仕事をしていた。海の仕事なのだが、会社は何故か世田谷にあった。
朝早く会社に集まって第三京浜で横浜の現場に向かう日々が続いていた。
仕事に行く時は、一旦会社に集まり一台の車で現場に向かう。
朝早い時間に出発すると言う事で会社から近い千歳烏山駅前のマンションを借りていた。
駅前と言うこともありスーパーは勿論居酒屋、スナック、電気屋さんその他諸々全て徒歩圏内で私の理想の街であった。
街と言うか中途半端な田舎なので私は烏山村と呼んでいた。
出不精な私は仕事が休みの時は烏山以外出掛けることは無かった。
近所のバーに行くとまだまだ売れていない若手の芸人や、女優、一流演歌歌手の運転手など知り合う事も多く飽きない『村』でとても楽しかった。
千歳烏山から出なくても一生終えることも出来るとすら思っていた。
そんな烏山を愛してやまない私はある週末馴染みの居酒屋へ飲みに出かけた。
大将『いらっしゃい!最近顔出さなかったね。元気してた?』
私 『元気っす。でも、最近帰りが遅くって…』
大将 『仕事もほどほどにしないと身体壊しちまうぞ!ガハハハ!』
私 『確かにね!適当にしたいんだけど、根が真面目なもので…ハハハ』
とたわいもない話で盛り上がっていた。
私 『ところでさ大将、金縛になった事ある?』
大将 『若い時に2〜3回あったなぁ。でも、心霊とか俺は信じてないからただの疲れだと思うけど。何で?』
私 『最近、よく金縛りになるんだよなぁ。声の様な音が聞こえたり、少し怖くてさ』
大将『だから、働きすぎなんだよ。疲れから睡眠がちゃんと取れていないんだよ。
いいか、眠りにはなぁ、レム睡眠とノンレム睡眠があるんだ。』
何でもノンレム睡眠は、大脳を休める為にぐっすり眠ている状態でレム睡眠は身体は寝ているが脳が覚醒している状態らしい。
人間はそれを約90分間隔で行っているらしくレム睡眠の状態が金縛の状態なんだとか。脳が起きているが、半分寝てる状態だから幻覚幻聴のような症状になるんだとか。
私 『大将詳しいね。でも、人の気配とかもするんだよ。 何か怖くて』
大将 『錯覚だよ。半分寝てんだから、夢の続きが起きながら見ている感じさ。科学で証明されてるんだよ。大丈夫、大丈夫!』
私 『なんか、少し安心しました。働き過ぎは本当よく無いっすね!ハハハ!』
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