第6話 パンドラの箱
パーティーを終え部屋に戻り、ベッドにあぐらをかいて座る。
(さてさて、まずは記憶の整理だ)
――僕は頭の記憶を見る。
あれ? 学校の記憶……一ヶ月後から剣術部入学……これしかない。
なんかこう、試験とかないのか? 普通に入学して授業を受けられる感じなのか?
調べようがないな。もしかしたら学校の資料とかあるかもしれない、とにかくカルラとクラウスに聞くしかないな。
後は、カルラの言っていたエーデルの昔のこと……
記憶を辿って――あった。
これは……あれ? 見れない。何故?
おかしいな、こんなことなかったのに。
記憶は映画のフィルムのようになっている。
フィルムの一部を頭の中で押すと、その時の感情や人物、場面が映像のように見られる仕組みになっているようだ。
――とても繊細で丁寧な記憶だ。ひとつひとつが大切な思い出で、壊れないように、忘れないように記憶されているのが感じられる。
だが、この昔のことについての記憶だけは何故か――触れてはいけない――見ないでと言っているように感じた。
まるで、硬く閉ざされた――パンドラの箱だ。
(大丈夫だエーデル。誰にだって見られたくない過去の一つや二つあるさ。僕はそれを無理矢理開けたりしないよ。でもいつか、それが抱えきれなくなった時は1番に僕を思い出してくれ)
僕は胸にそっと手を当てた。
それがたとえ取り返しのつかない災難だったとしても、僕は君の体にいる以上逃げたりはしない。一緒に立ち向かうと決めた。
次に魔物や魔術の記憶を見たが、どうやら魔物に関してエーデルは本の中でしか見ていない。実物を見たことがないということだ。日本に住んでいた僕からするとおとぎ話にしか思えないのだが……
でも記憶でクラウスが魔物と戦う時このことを話していた。これも実際に魔物狩りをしているクラウスに聞くしかないな。
そして最後に……これが一番重要だ。
(ここは何処なんだ!? やっぱりルピナス王国って何処!?)
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