第5話 甘え作戦
ガッコウ...…いや、正しくは学校だろう。
だが受け入れたくない。
それは、僕がこの世で1番嫌いな単語。
たとえ天と地がひっくり返っても決して好きになることはない存在それが――学校。
この世が終わる時、学校という存在しか残らないのであれば僕は喜んで死を選ぶ。
そのくらい僕(大夢)にとって辛い場所だった。
「どうしたんだエーデル。お前あんなに楽しみにしていただろう? やっと友達が作れるって」
「僕が?」
エーデルの記憶に学校のことは……あった。
随分と隅に隠していたな。それに何故だ…エーデルの容姿、性格なら居てもおかしくないはずの友人関係の情報が一つもない。
(そうか……お前もいなかったんだな。安心しろ、僕も一緒だ)
楽しみにしていたか…まあそうだな。
どちらかというとこの感情は――不安とほんの少しの期待か。
ここはエーデルの気持ちを汲み取りたいところだが、親を心配させちゃいけないな。
「最近楽しいことが多くて忘れてたんだ。楽しみだよ、とても」
「本当に大丈夫? あなた昔のことがあるから、ママ心配よ。それに寮に入るのよ? うちから通うこともできるけど、片道半日掛かるなんて遠いわね。思い切って引っ越しちゃう?」
「カルラそれはいくら何でも……」
昔のことってなんだ? これも記憶が出てこない。
エーデル、お前について調べることが山積みだよ。
それに寮だと?! 地獄の門に片足っ込んだ気分だ……
待てよ? ずっとここにいれば両親は僕に対する違和感を少なからず感じ取るだろう、中身が変わっているんだからな。当然だ、この親達なら気づいてもおかしくはない。
でも寮にいけば僕を知っている人は少ないはず……その方が楽に生きれるかもしれない。寧ろそっちの方が都合がいいな。
「大丈夫だよ。安心してママ」
(あー、でもやっぱり行きたくない)
「ママ、パパ……本当に学校行かなきゃダメ?」
僕はこの顔面をフル利用して、上目遣いと可愛さ含んだ表情、甘え作戦を使った。(柄ではない)
そしてクラウスは笑顔で言った「駄目だ」
――作戦は失敗に終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます