第5話 ――――貴理子の恋と結婚 2 ―――――

5


     ――――貴理子の恋と結婚 2 ―――――





 夫が年上だったにもかかわらず、

 日々喧嘩もなく楽しく過ごしていたにもかかわらず、



 ある日突然離婚してほしいといわれるようなことを経験すると

流石に次の結婚には慎重になる。




 青木さんはやさしくて話も合って一緒にいると楽しい人だけど、

12才も年下だからなぁ~。



 アタシが小学6年生の時おかあさんのお腹の中にいたか、飛び出して

きて0才児だったか……そんなんだよ。



 でもこんなの奇跡じゃない?


 40才のおばちゃんのことを『貴理子ちゃん』って呼んでくれて、

『一緒にお茶しましょ』って誘ってくれて……奇跡だよねー。




 前の正社員で働いていた時は私がバイトくんたちのことをくん付けで

呼びつけたりしてて、そんでもって私はバイトくんたちに

さん付けで呼ばれててしっかり者のおばちゃん社員ってイメージで

接せられていたけれど、今は私がアルバイトで青木さんが正職員だからか、 

 『貴理子ちゃん』って呼んでもらって私は彼のこと『青木さん』って

呼んでいて笑っちゃうけど。




 

 ちゃんづけで呼ばれるだけでふわふわしてたけど、好きって言われて

まぁいっか好きだけで終わるでしょ、と思っていたら彼は本気だった。


  付き合って半年後にプロポーズされた。




『ご両親に反対されるよ』って言ったら、二人夫々それぞれ病気と

事故死で亡くなっていてきょうだいもいないんだって。




 だ・か・ら……




『障害は何もありません』って言われた。



 なので私も本気出すことにした。



 青木さんに


『もうお別れしたい』


と言われる日まで夫婦生活を楽しむことに決めた。




 正義だってあの美女と幸せになるのだ。



 あたしも幸せになってやる。ヤッホィー。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る