今も桜が舞うあの樹の下で……

近藤玲司

今も桜が舞うあの樹の下で

出会いは高校二年に入った頃だ。

桜がひらひらと舞っている時に、君と出会った。とても綺麗だと思った。桜の花びらが彼女の魅力をより引き出していた。何故か不思議と目が離せない自分がいる。


ただその時はなにもなかった、僕にも君にも。僕たちはあの桜の木の下ですれ違っていった。



転校生が来るらしい。誰が来ても変わらないと決まっている。そう思ってると今朝あの樹の下で出会った彼女が前にいた。


どうやら同じ学年で今日から転校生だったらしい。


そして目が合った瞬間、彼女も僕のことを覚えていた様でねぇ、さっき会ったよね?と話しかけられた。


始まりは偶然かもしれない。

でもこの時から僕たちは始まった。


その日話しかけられた以降、僕と彼女はたまにだが、話すようになった。

今日あったこと、学校での出来事、休日の話……そんな、何気ない話が続いた。


いつからか、周りから冷やかされるようになった。お前ら付き合ってんのか?いやぁ◯◯と◯◯の馴れ初めいいなぁなど……

ただ僕はそんな事特に意識などしていなかった。ただただ彼女といる時間が楽しかった。

その関係を無意識にだが、壊したくないと思っていたのかもしれない


時間が経つにつれて休日でもスマホを通して話すようになっていた。

それも、毎日だ。話題どうする?と言う程彼女とは何時間も話し合った。ただそこに気まずい空気はなく、そんな時間も好きだった。



ただ、時間は動き出した。

彼女の親がどうやら病気になったらしい。

それでこんな風に会話するのは最後かもしれないと……そんなことを言われた。


この時の僕は何を思ったのだろう……

ただ猛烈に覚えてるのが心の中にポカっと空いた損失感だ。


いやだ、行かないで……そんな事を言ってしまったかもしれない。その時の彼女は泣いていた。ただただ泣いていた。一体何を思ったのだろうか…その時の僕には分からかった。


その日を堺に僕達は話さなくなった。

僕にも彼女にも周りにたくさんの友達が居たのもあるだろう。その友達と関わるに連れて……僕たちは自然と離れていった。

あの時、もしもっと何か別のことを言えば、彼女とこれからも関われたのだろうか……


時間が経ち、彼女と出会ったあの桜の樹の下にいる。もうすぐ春になり、この淡い思い出もまた古いものになる。

空を見ると太陽とは違う美しさを放っている日の丸のような大きさの満月を眺める




私の親は転勤が多いことでそれに伴い、転校することが多い。


今日は初めての登校日。

また周りと仲良くなれるかな……そんな、慣れない気持ちを抱きながら歩いてると大樹とも表現していいほどの大きい樹があった。

そして、桜が咲いている。

これほど幻想的な光景は今までみたことない。

風が吹くと同時にその樹に咲いている大量の桜の花びらが舞う。

その光景を自然と目を追うと、1人の男の姿が見えた。


どこにでもいる普通の男の人だ。

ただ、私は何故か目を離せなかった。どうしてだろうか?


そんなことを考えながら、私は今も目が合ってるその人とすれ違って学校に向かった



学校に着いて驚いた。まさか先ほど出会った人と出会うとは……なにかの縁と思い私は彼に話しかけてみた。


最初はなんの大したことのない会話だ。

趣味や、好きなこと、最近気になってること……そんなどこにでもありそうな普通の会話。


ただ彼と話していると、楽しいしとても暖かい……そんな気持ちにさせてくれる。


周りからも冷やかされることはあった。

彼のこと好きなの?もう告っちゃいなよ〜

とちらほら……正直、分からない

ただ彼と他の人とは違うということだけは分かる

でもこの関係を壊したくないと考えた私ははぐらかした。


そしてしばらくして、彼とはプライベートでも話すようになった。

その時の私はとても幸せだったと断言できる。

彼とは毎日のように連絡し、話し続けた。

カップルでもここまで話すことはないんじゃないかなと思われる程にだ。

最終的に話題が尽きてしまうことだってあった。でもそこに嫌な空気はなく、ただ一緒にいるだけでもとても心地よい空間を彼は与えてくれた。


でも、現実は残酷だ。

私はこれでも成績優秀な優等生でとあった。

だが、彼と関わってからそれはどんどん成績が落ちてくのか目に見えて分かった。


これが親にバレて、怒鳴られた。

その原因が彼と分かって、今すぐそんな男と離れろと言われた。


私はそんなことを言う親に反発した。

でも……このままだといけないと思う自分もいる。


そして苦渋の決断を迫られて私は——彼と離れることにした。


親が病気になったという嘘をついて、突き放そうとした。

でも彼はいやだと、離れたくないと言っていた。

そう思っててくれて嬉しいという気持ちと彼を騙している気持ちが混ざり合って私は気がおかしくなりそうになった。


その後、なんとか彼とは離れた。

ただただ辛かった。どうして離れなければならない……こんなことなら、と思う自分もいた。


幸い周りには恵まれたこともあり、その時はなんとか乗り越えられた

でも……やはり心の中にある穴を塞ぐには無理そうだ




時間が経って私は今、あの日にみかけた大きな樹の下にいる。もうすぐ春になるということになり、今にも桜が咲きそうだ。


そして空を見ると太陽の燦々と輝く眩しさとは違い、幻想といってもいい光を放っている満月が見える。

もし彼に本当の事を言えたらまた違った結果になっていたのだろうか?





拝啓

僕は今、貴方と出会ったあの桜をみています


拝啓

私は今、初めて貴方と出会ったあの桜を眺めています



貴方は覚えていますか?僕(私)と過ごした日々を……

あの、どうしようなく淡い、幸せな日々を





                   完




後書き

初めて書きましたが、如何だったでしょうか?

高校生の男子と女子の一つのすれ違いここまで関係を変わらせてくると考えると感慨深いですね……書きたいことだけ書いたので少し拙いかもしれませんが笑


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