第92話 |漆黒の牙《シュヴァルツファング》討伐戦前編
「すごいプレッシャーですね」
「目を離したら一瞬で殺られますよ」
ノアとマシロが
「ゴホッゴホッ⋯⋯二人は遠距離から援護してくれ」
俺は
いくら聖獣と神獣だからといって、
だが戦う前に、まずはやらなくてはならないことがある。
それは
「
俺はスキルを口にすると立体映像が目に映り、
だがこれはまた⋯⋯驚愕の能力だな。
名前:
性別:雄
種族:魔獣
レベル:222/320
力:2151
素早さ:4621
防御力:392
魔力:892
HP:2011
MP:392
スキル:黒の法衣・スピード強化A・疾風迅雷・漆黒の咆哮・漆黒の爪
魔法:なし
称号:陸の王者・スピードキング・黒い悪魔
とんでもない能力だな。魔力こそ低いがフレスヴェルグと遜色ない能力だ。
フレスヴェルグは空の王者だったけど
黒の法衣を何とかすれば勝てると思っていたけど、その考えは少し甘かったな。
そもそもフレスヴェルグの時は、別の世界からこちらの世界に来る必要があり、動きが制限されていた。一番の長所であるスピードを使うことが出来ないでいたのだ。
しかし
「どうですか? 能力は?」
「ゴホッゴホッ⋯⋯相手にしたくないレベルだな。特に素早さがやばい。二人とも気をつけてくれ」
「わかりました」
「了解です」
だけどどんなに脅威だろうと逃げる訳には行かない。ここで逃げたら多くのエルフの命が、フォラン病で失われてしまう。
俺は神剣を構え、視線を
どんな些細な動きも見逃さないという訳か、おそらく尋常じゃないスピードを持っているから、出来れば仕掛けて来るタイミングがわかると助かる。
俺は一瞬目線を横にずらす。
すると
「かかったな」
予想通りのタイミングでこちらに向かってきたが、予想以上のスピードに驚きを隠せない。だがこのまま何もしなかったら
俺は反射的に神剣を振る。
タイミング的には額を両断したと思っていたが、
やれやれ。反応速度もやばいな。今の攻撃がかわされるとなると、かなり厳しいな。せっかく神剣をもらったのに当たらなければ意味がない。
だがこちらの攻撃はまだ終わっていない。
「行きますよ。
「行きます!
風の刃と氷の槍が
二人の攻撃が
だが魔法が当たる瞬間、黒い物が防ぐのが見えた。
やはりただの魔法攻撃では牽制くらいにしかならないか。
やはり黒の法衣はかなり厄介な代物だ。
「ワオォォォォッン!」
「うう⋯⋯圧が凄いです」
「足が勝手に震えて⋯⋯」
マシロとノアが
「ゴホッゴホッ⋯⋯だ、大丈夫か二人とも」
「ええ⋯⋯何とか」
「少し足がすくんだだけです」
そういえば能力を見た時、漆黒の咆哮というスキルがあったな。もしかしたら、一定のレベル以下の者を動けなくする効果があるのかもしれない。
幸いなことに俺にとってはうるさいだけで、何の問題もない。
ともかく近くに寄らないとこの神剣を使うことが出来ない。
相手は狼型の魔物だ。
剣をかわすことは出来ても、防ぐことは出来ないだろう。
何度も攻撃を仕掛ければ、いずれ一太刀入れられるはずだ。
俺は
だが俺が近づいた分だけ、
ん? どういうことだ?
俺は再び
しかし先程と同じ様に距離を取られてしまう。
まさかとは思うけど、
くっ! 攻撃を食らった訳じゃないのに、神剣の危険性を見抜くとは。
「ゴホッゴホッ」
俺は神剣を構えながら咳き込み、苦しそうな表情を浮かべる。
だけど距離を取るということは向こうも攻撃が出来ないということだ。
能力を見た時、魔法は使えないと出ていた。
しかし一つだけ気になることがある。
それはスキルの欄にあった漆黒の爪というやつだ。
もしかしたらそれが遠距離攻撃かもしれない。
俺は気を引き締め、
すると
「ゴホッゴホッ⋯⋯どういうことだ」
真上に飛んだ所で何もない。だけど知恵がある
その俺の予想は当たっていた。
するとそこから漆黒の刃がこちらに向かって来るのであった。
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