第12話 後輩ちゃんの登場
その後も作戦会議を続けていると、玄関の方からインターフォンが鳴った。
先ほど麻里さんからいただいたお金でみんなの分の出前を注文したから、それが届いたのかもしれない。
「ちょっと出てくる。みんなで話、続けてて」
そう告げて俺はリビングを離れる。そして玄関を開くと、予想通り出前を注文した飲食店の制服に身を包んだ女性が現れる。
「あっ、どもー。熱いんでお気をつけて」
女性と言っても大人の女性というわけではなく、俺たちと同年代くらいに思われる。小柄だがスタイルがよく、ショートヘアで活発な印象だ。アルバイトとかだろうか。
そんなことを考えながらお礼を言って器を受け取り、会計を済ませていると奥から池神がやってきた。
「新木、ひとりで器運ぶの大変だろ? 俺も――って、あれ……明里ちゃん?」
手伝いに来てくれた池神が、出前を届けくれたアルバイトの子を見て驚いた表情を浮かべている。目が合うと、彼女の方もぱぁっと表情を明るくする。
「池神先輩じゃないっすか!」
どうやら2人は知り合いのようだった。
「新木、この子は俺たちの同じ学校の生徒で1年の
「です!」
小宮さんは池神の紹介に反応してペコっと頭を下げる。
「これはどうも」
俺も反射的に頭をさげる。
「バイトしてんのか? けど、部活はどうしたんだよ」
「辞めたっすよ、あんな部活。池神先輩が居なきゃ続けてる意味ありませんから!」
どうやら小宮さんは池神が元々所属していたサッカー部でマネージャーを務めていたようだ。
3人でそこそこ会話をしてから、小宮さんは帰って行こうとする。その際、彼女が何か紙切れのようなものを落としたので、俺はそれを拾った。
「これ、落としたよ」
手渡そうとするが、彼女は両手がふさがっているようだ。バッグにでも入れてあげようか。
「あ、いいっすよ。それ新木先輩にあげますから! それじゃ、また学校で!」
行ってしまった……あげると言われた紙きれを見てみると、彼女がアルバイトしていると見られる飲食店の求人募集チラシだった。
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