第4話 美少女たちと昼食を食べる。
初日の授業が進んでいき、昼休みになった。
昼食はどうしようか。学校に購買部や食堂があると聞いていたので今日は何も持ってきていない。
とりあえず、適当に回ってみることにするか。
「新木くーん、お昼どこかで食べる予定ある?」
教室を出たところで水無月さんに話しかけられる。隣には、同じクラスの女子生徒である
静原さんは少しウェーブのかかった黒髪をポニーテールにしている。凛とした切れ長の瞳をした美人で、元気っ子な水無月さんとは対照的に物静かな印象を与える。
休み時間のとき、いつも水無月さんと一緒に居たところを見るに2人は仲がいいのだろう。
「お昼は特に決まってないから、購買とか学食とか適当に回ってみようと思って」
「そっかそっか、じゃあさ、お昼一緒に食べない? 学食の場所とかまだ聞いてないんでしょ?」
そういえばそうだ……場所もわからないし、入れたとしても学食のシステムもよくわかってない。さらには完全にアウェイな状況で、ぼっちで昼食を食べるという非常に難易度の高い行動をこなさなければならないのだ。
水無月さんたちが来てくれたらかなりありがたいが……。
「それは嬉しいけど、2人はいいの?」
行動を共にするのはお邪魔なのではないかと思い、そう訊ねる。それに、俺は朝の油婆の紹介のせいですでにかなり腫れ物扱いされている転校生だ。
「いいのいいの、凛香なんて今日1日、ずっと新木くんのこと気にしてたんだぞ」
えっ……。
「ちょっ! 千尋っ」
「話しかけてみればって言っても恥ずかしがっちゃってさ」
「ちっ、違っ……もぅ~~! 変なこと言わないでよ!」
顔を真っ赤に染めて水無月さんをバシバシと叩く静原さん。
「あはは、ごめんごめん。でもそんなわけだから、よかったらお昼みんなで食べようよ」
#
と、いうことで俺は2人に連れられて学食へとやってきたのだが、水無月さんが教室のロッカーに財布を忘れて来たらしく静原さんと一緒に中へと入ることに。
「えっとね、学食ではここで食券を買ってカウンターに出すの」
静原さんは俺に説明をしながら食券機にお金を入れ、牛丼のメガ盛と書かれたボタンを押す。
「静原さん……すごいの食べるんだね」
「ちっ、違うから……これは千尋の分!」
「そっ、そっか!」
それもそうか、このスラっとした静原さんがこれだけボリュームのあるものを食べるところは中々想像ができない。
とはいえ、水無月さんも静原さんに負けず劣らずのスタイルではあるのだが……彼女はグイグイ距離感を近づけてくるためか、なんとなく大量に食べていても違和感がないのかもしれない。
それから無事食券をカウンターで渡し、俺たちは空いている席で食事と水無月さんを待つことにした。
さて、待っているあいだどんな会話をするべきか。静原さんとはさっき初めて話したばかりだし、お互いそこまで積極的に話をする方じゃないらしく何を話したらいいものかわからない。
そう考えると水無月さんのコミュ力って半端ないんだな……会話デッキどれだけ持ってるんだろうか。
「えと、ごめんね。わたし、男の人とこうやって過ごすのって慣れてなくて、上手く話せなくて……」
俺が脳内の山札を必死にシャッフルして手札を整えていると、静原さんはテーブルの上で両手をもじもじさせながら言ってくる。
「大丈夫だよ。俺の方こそ、あんまり会話が得意じゃないからごめん」
「あ、ありがとう……。でもわたし、新木くんと一緒にいるのは落ち着くかも」
と、お互いに気持ちを打ち明けてからはなぜか急に話しやすくなり、それからしばらく会話を続けた。
もしかしたら自分と少し似ているとわかったから互いに安心したのかもしれない。
やがて食事と水無月さんがやってきて、3人で昼食の時間が始まった。
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