第2話 クズな担任教師をざまぁする。①
叔母の麻里さんと再会した翌日、俺は新しく通うことになる高校へと登校していた。
担任の中年女性教師、
「えー、今日は転校生を紹介します。前の高校で暴力事件を起こし、身寄りもなくなったクズぼっちの新木 守くんです。みなさん可哀想なので仕方なく仲良くしてあげましょうね」
は……?
耳を疑った。この担任、なんて紹介をしてくれてるんだ。こんなの、教師が言う言葉じゃないだろ……。
「えっ、暴力事件……?」
「転校生、ヤバいやつなんじゃね?」
教室中が騒がしくなる。
「ほら、転校生。早く挨拶」
油婆がニヤニヤと悪趣味な笑みを浮かべながら転校生の挨拶を促してくる。
なんなんだよ、この教師……こんな紹介をされた後に何を言えばいいんだよ。
「暴力とか犯罪者じゃね?」
「まじで犯罪者は死んでくれよ」
教室中には、クズ教師の言葉に便乗して俺を非難する声があふれ出す。油婆の口角はこれでもかと愉快そうに吊り上がる。俺が追い詰められているのが楽しくて仕方がないようだ。
せっかく新しい環境に来たってのに、ここでもこんなクズばっかりかよ。
と、俺が唇を噛み締めていたとき……。
――ガシャァ!
と、教室に激しい音が鳴り響く。
窓際の一番前に座る金髪の女子生徒が机を蹴り飛ばしたようだ。
「てめぇらうっせんだよ! 黙って転校生の挨拶も聞けねぇのか」
教室中がシーン、と静まり返る。
おかげで俺は冷静さを取り戻し、挨拶を続行した。
「転校生の新木 守です。暴力事件は起こしてないので、皆様の期待には応えられないかもしれませんがよろしくお願いします」
転校生が暴力事件を起こしたとかいう話題で盛り上がってるやつらに皮肉を込めてそういうと、教室の一部の生徒は笑って拍手をしてくれた。
「ええと、俺はどこの席に座ったらいいですか……?」
俺は油婆に判断を扇ぐが、彼女はわざとらしく胸を押さえ、過呼吸気味な演技をしている。
「はぁ、はぁ……なんですぐそうやってすぐ暴力を振るうのかしら、これだから不良生徒は……」
どうやら、油婆は先ほどの金髪の女子生徒のことを言ってるようだ。なんだこいつ、こんどは急に被害者面かよ。
「チっ……っざけんなよ」
金髪の女子生徒は舌打ちをして教室を出て行こうとする。
それよりもさきに俺は口を開いた。
「えっと、俺は少なくとも暴力事件を起こしたとかいう嘘で人を気付付ける教師の方がよっぽど不良のクズだと思いますけど」
「なっ……!」
そう言うと、油婆は目を見開いで俺を睨みつけてくる。
「えっ、転校生の暴力事件って嘘なのか?」
「また油婆の虚言なんじゃね?」
「てかあの油婆に言い返すとか転校生おもしれー」
またしても教室中が騒がしくなる。
「黙りなさい!! この私に暴言を吐いたこと、言いふらしてやる」
「そのときには、嘘の紹介で風評被害を与えてきたことを言いますけど」
「う、うるさい……死ね! くそ転校生!」
自分の思い通りにならないことが気に食わないのか、分が悪くなった油婆は捨て台詞を吐き捨てるように言うと、教室を出て行った。
「久々に見たな、油婆のヒステリック」
「やべー、転校生おもしれー」
クラスメイトが野次を飛ばす中、俺が座る席に悩んでいると。
「おーい、転校生くーん。ここ空いてるから座りなよ~」
窓際の席から、1人の女子生徒が手を振ってくれていた。
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