第四十三条
著者が暇であるから。閑暇とはさほどバカにできたものでもない。芥川のマッチ箱の比喩のように、取り扱いによってはよろこばしい大惨事にもなり得る。卜部兼行が徒然にあのような卓越した文章を遺せたということは、彼が閑暇というものをわきまえていたからだ。さて、私は無職であまりにも暇なので、ものぐるほしくこのような文を書きつけるしかないあやしさである。
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