第30話 氷の巨兵
氷の迷宮の暗闇の中、アリアと俺たちは新たな区画に足を踏み入れた。迷宮の壁は氷の結晶で輝き、その中には深い青と白の色合いが幻想的な景色を作り出していた。アリアは息を呑むように周囲を見回し、胸に広がる緊張感を抑えようとしたが、その一方で前の試練での勝利の余韻も感じていた。
「この迷宮、美しいけど…あの壁の向こうには何かが待ち構えている気がするわ。」アリアは静かに言った。
レオンは深く頷きながら、迷宮の奥深くで何かが動き出している気配を感じ取っていた。「気を抜かないように。ここは美しさと危険が交差する場所だ。」
俺は周りを見回し、「守護者の教えを心に留めて、冷静に進もう。これはおれたちの内面を試す場所だ。」俺は言葉を重ねた。
俺たちが再び進むと、突如として前方に立ちはだかったのは、高さ数メートルにも達する巨大な氷の巨兵だった。その体表には氷の結晶がキラキラと輝き、その存在感は迷宮を圧倒していた。
「これが…氷の巨兵?」アリアが驚きの声を漏らした。
巨兵は氷の剣を手に持ち、その氷の体から凍てつく寒気を放っていた。その凍りついた目で一行を睨みつけ、巨大な足音を響かせながらゆっくりと迫ってきた。
「戦わなければ先に進めないようだ。しかし、その氷の力には十分に警戒しなければならない。」レオンが剣を構えて言った。
アリアは一瞬の間を捉えて、巨兵の足元に近づいた。「私たちも氷の力を使ってこの試練に挑みましょう」
彼女の手から青白い光が放たれ、その光が巨兵の足元を包み込んでいく。氷の巨兵の足元が急速に凍りつき、その動きが鈍くなっていくのが分かった。
「これで、一息つけるわ!」アリアが喜びを込めて叫んだ。
レオンと俺も彼女の戦略に賛同し、氷の巨兵の全体に冷気を集める。氷の結晶がその体中に広がり、巨兵の動きをますます制限した。
「最後の一撃を加えよう。」俺が深呼吸して言った。
俺たちは力を合わせて、巨兵に向かって突進した。氷の巨兵は激しく抵抗したが、最終的にその体が崩れ落ち、周囲に静寂が戻った。
「さあ、次の試練へ進もう。」レオンが言い、彼らは前進した。未知の挑戦が待ち受ける氷の迷宮の奥深くに向かって。
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