第29話 緊張と期待

 俺達は進む度に増す緊張感と期待を胸に、氷の迷宮の新たな区画へと足を踏み入れた。周囲を包む氷の壁は、まるで鏡のように光を反射し、迷宮内に幻想的な輝きを生み出していた。アリアは前の試練での勝利に安堵しつつも、未知の試練が彼らを待ち受けていることを肌で感じていた。


「この迷宮、本当に美しいけど、それ以上に危険が潜んでいるのよね。」アリアが静かに言葉を紡いだ。


 レオンは彼女の言葉に頷きながら、氷の壁の影から何かが覗いているような気配を感じ取っていた。「気を抜いてはいけない。私たちの周りには見えない力が動いているようだ。」


 俺は冷静に状況を見極め、「ここに来る前から分かっていたけれど、この迷宮は俺たちの内面を試す場所。だからこそ、守護者の教えを心に留めて、自分の内なる葛藤に向き合わなければならないんだ。」俺は仲間たちに思いを馳せた。


 俺達は再び進むと、前方に新たな障害が立ちはだかった。氷の壁の向こう側から漏れる音が、再びその厳しい響きを迷宮に響かせた。


「またですか…」アリアがため息交じりに言った。


 レオンはすぐに周囲を警戒し、「どうやら前進するためには、この壁を越えないといけないみたいだ。」彼の視線は壁の方に集中していた。


 壁はますます揺れ始め、氷の割れる音が響き渡る中、俺達は新たな戦いに備える準備を整えなければならなかった。


「この壁をどうするつもりですか?」アリアが再び尋ねた。


 俺は一呼吸置いて、俺たちをリードする役割を果たし、「おれたちの内にある力をもう一度集めよう。前回のように、光を放ちながら壁を突き抜ける方法があるかもしれない。」俺は提案した。


 俺達は再び守護者の教えを思い出し、集合して内なる力を結集させた。アリアは心の中で自分自身に問いかけ、氷の壁を通じて彼女の力が再び役立つことを望んでいた。


 そして、彼女の手のひらから青白い光が放たれ始めた。光が壁を透過し、その内側に美しい氷の結晶を形成し始めたのだ。光が壁を包み込むと、壁は少し後退し、進むための道が開けた。


「やりました!」アリアが喜びを込めて叫び、その勝利に安堵の表情を浮かべた。


 レオンも彼女の力に感嘆しつつ、「さすがだ。この道を進むぞ、次なる試練へ向けて。」彼は一歩前へと進んだ。


 俺達の前に広がる道は、氷の迷宮の新たなる試練への入り口だった。未知の世界が待ち受ける中、自分たちの成長と内面の力に挑む準備を整えていた。

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