第1試合

日が差し込む清々しい朝。鳥たちは囀り、

ちゅんちゅんと可愛らしい鳴き声をあげている。

そんな中、私の目覚めはある意味最高で、ある意味最悪であった。


「……え、体痛っっった!」


体がお亡くなりになっていた。主に腰。隣にいる自分と同じく一糸まとわぬ姿の陽菜を置いて壁ずたいに移動し服を着ようと試みる。


途中にあった姿見に映る自分は体中の至る場所にキスマークや噛み跡がつけられておりどこか情状的であった。


一つ一つに愛が詰まっていると思うと幸せな気分だ。

だとしても体の痛さは全くもって変わらないが。


「んぅぅ……ん?あ〜おはよぉ」


「おはようございます」


キスマークを付けたご本人様がお目覚めみたいだ。

服を取りに行くよりベットの方が近いため、1度ベットに戻る。これ幸いにと抱きついてくる陽菜。お互い素肌で密着度が高い。すべすべしていてずっと抱きついていたくなる。


「ふふ、いっぱいついてるね」


「誰かさんが沢山つけてくれたので」


ずっとこのまま微睡んでいたいが今日は予定が入っている。私個人としてはすっぽかしてもいい予定だがリスナーの人たちや私とのコラボを希望している人達からはとても大事な予定だろう。


遅刻しないように準備をしなくてはならない。主に体をほぐすことと喉のケアをする為起き上がろうとする。


「まだ大丈夫じゃない?もっとゴロゴロしよ?」


「でも……お風呂にも入りたいですしそろそろ起きた方が……」


「なら一緒にお風呂入ろ?」


てな訳でINお風呂。


湯船にわざわざ朝からお湯を張ってゆったりとした時間を過ごす……予定だった


「……どこ触ってんですか」


「ん〜?おっぱい」


陽菜には自重の2文字を昨日の内に忘れてしまったみたいで体をまさぐってくる。より変態になってしまった。


「……1回だけしよ?」


「……1回だけですよ」


変態だ変態だ。なんて言いつつそれを咎めることもしない私はだいぶ陽菜に甘くなっているようで、時間が有り余ってる訳でもないのに朝から盛っている。


「あースッキリした!」


「さっぱりでは無く?」


「私的にはスッキリだね!……今度色々玩具買ってこよっかな」


不穏なつぶやきはフル無視に限ります。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「あーあーあー!あ〜〜〜♪……よしっ」


ついに始まる。私の未来のコラボ相手3名を決める大イベントが。


ちなみに陽菜はダッシュで帰って行った。ここには陽菜の配信環境どころかパソコン1台すら無い。うちにあるパソコンは私のやつ1台のみである。


……まあ、陽菜は第3試合だし間に合うでしょ


そう結論づけて配信ボタンを押す。


「みんなおまたせー!VTuber・コラボ枠争奪杯開催!司会解説は私が行います!みんな楽しんでいってねー!」


:きちゃぁぁぁぁぁ

:ふっ、ついに来たか

:待ってました!

:楽しみすぎて夜しか寝れんかった

:健康的で草


「さてさて、私も色々と言おうかと思ってたけど参加者の面々が待ちきれないみたいなので!早速第1試合を始めたいと思います!」


──────────────

────────

────

──


「ついに残り3名!ここまで勝ち上がってきた3名ついに最終安地に入ったぁ!」


:やっと来た

:意外と長く続いたな

:おいw1人誰もキルしてないやつおるてw

:運よすぎw


「運も実力のうちと言いますし、敵にエンカウントしない強運はFPSにおいて大切な要素になってきます!」


「あっとここで!スナイパーで頭を撃ち抜かれてしまった!ついに1体1になったぁぁ!」


「お互い牽制しあっています!おっ、ここでボムを投げた〜……そのまま突撃したぁ!しかし相手側のカウンターをもろに食らったぁぁ!」


「おーーーっと最後は自分の投げたボムで死んでしまったぁ!ここで試合終了!見事雑談コラボ枠を獲得したのは……星崎 ミナさんです!おめでとーございます!ここで優勝者とボイスチャットを繋げてみましょう!現場のミナさーん?」


『はーい!!!あー嬉しぃー!手が震えてんですけどぉー!あ、現場の星崎でーっす!』


……テンション高ぁ。コラボの時もこんな感じだったらちょっと疲れそうだなぁ


「ではでは、優勝したご感想をお願いします!」


『うっす!まじでちょー嬉しいです!雪ちゃんとはずっとコラボしてみたくてやっと夢叶ったぁ!って感じです!同期としてやっと初コラボに持っていけてまじサイコーです!』


……あ、同期だったんだ。

まあいいか。次は第2試合だ。

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