第1章
白夜
「今日の配信はここまで〜!最後まで付いてこれたぁ?」
:惜しくも途中離脱·····無念
:ワイは余裕やった。エナドリ2本の力よ
:ふん、その程度か。所詮は人の子。ちなみに俺は途中離脱
:ダメじゃねえかw
:まあ、20時間も配信してるしな。ずっと見てるやつの方が少ないだろ
「ふむふむ。みんなも、まだまだだねぇ?でも睡眠は大切だから適度に寝ようね!」
:お前が言うなw
:どの口が(定期)
:じゃあ毎日のように長時間配信してる雪ちゃんは睡眠をいつ取っているのか、聞きたいですねぇぇ?
:睡眠時間キリンに言われてもなぁ
「辛辣·····てことで今日は終わり!おつ雪!」
:おつ雪
:おつ雪
:おつ雪。次は5時間後に配信が始まると予想
:それよりも早いかもしれないという恐怖
:おつ雪·····マジで寝てくれ
流れ続けるコメントを流し見しながらEDアニメーションを流す。いつもの事ながら今日も疲れた。でも目は冴えてるし寝ようとも思わない。
「ん·····?なんかパソコンの調子悪い·····?ラグいなぁ」
少しパソコンの調子が悪いみたいだけどあまり気にせず画面を落とし、そばに置いておいた水を飲んで一息つく。ヘッドホンを首にかけ、奮発して買ったゲーミングチェアにもたれ掛かる。椅子に関しては本当にいいものを買って良かったと思う。最近はめっきりベッドで寝ることがなくなってよくこの椅子で仮眠を取っている。
私が虚空を眺めていると控えめなノックの音が聞こえてくる。
·····あ〜、この人が来てるの忘れてた。
「入っていいですよ。もう配信終わったので」
そうドアの向こうにいるであろう人に声を掛ける。·····本当になんで家に入れちゃったんだろ。配信中でバタバタしてたからつい入れてしまったけど意地でも追っ払っておけば良かったと今になって後悔する。
「よっ!長時間配信お疲れ様〜。肩揉んであげようか?」
「はぁ、結構です。それ以上近寄らないでください。キモイので」
「えぇ〜·····結構毒舌なのね。そっちが素なのかな?まあ、なんにせよ久しぶりだねぇ。顔合わせ以来だよね」
「そうですね。もう二度と会うことは無いと思っていたのですが·····まさか教えてもいないのに家に来るとは思いませんでした」
そう。そうなのだ。この女に家を教えた覚えは全く無いのだ。殆ど話したこともないのに何故か私の家を特定してやってきたこの女は私と同じVTuber。同じ事務所、そして同期として同じタイミングでデビューしている。ふてぶてしく私のベットに腰掛けているこの女は蒼空 陽菜という名の同期なのだ。
「いやぁぁ、家凸ドッキリするから住所教えて〜って事務所に言ったら教えてくれた」
「最悪·····これだから人間は信用出来ない···」
「え?なんか言った?」
「いえ、特に何も言ってませんよ。それで、勝手に人の個人情報を流出させた事務所に関しては後で問い詰めるとして、貴女はなんの用があって来たんですか?ドッキリって感じでもなさそうですけど」
「ん〜?それはねぇ·····」
時計の針がカチカチと音を立てる。静まり返る部屋の中で私たちは向き合ったまま1分くらい見つめ合った。
「·····あの、なんの時間ですか?これ。溜めが長すぎるんですけど」
「あ、やっとつっこんでくれた!もぉ〜!ツッコミ待ちだったのに」
·····めんどくさい。何この人。ほとんど初対面と変わらないのに馴れ馴れしいったらありゃしない。だいたい、こんな所で芸人味を求めないで欲しい。
「あー!めんどくさいって思ってるでしょ!あたしそう言うの分かるんだからね!」
「はぁ、疲れた·····もういいから早く要件言って帰ってください·····」
「ちぇー·····まあいいや。要件はねぇ、仲良くなりたいからだよ!」
「·····は?」
は?何だこの人。仲良くなりたい?嘘でしょ?そんな事のためにわざわざ配信してる途中の人の家に押し掛けてきて数時間待ってたわけ?
·····いや、そんなはずは無い。きっとなにか違う目的があるはず。
だって、今までだってそうだったから。みんな·····なにか裏の目的がある·····絶対にだ。
「·····何が目的?」
「いや、だから〜仲良くなりたいんだってば」
「そう言うの良いから。何?炎上のネタでも探しに来たわけ?それとも弱みでも握りにきた?」
「ちょちょちょちょ!そんな訳ないじゃん!どんだけ疑り深い訳!?そんな人いないから!」
·····そんな人いない?·····何言ってんだ?居るよ。腐るほど沢山·····嫌になるくらい大量に。フランクな感じを装ってるけど私は騙されない。どうせこの人も·····
「とにかく貴女と馴れ合う気はありません。用が無いなら即刻帰って下さい。仮眠を取りたいので」
「良いじゃん良いじゃん!仲良くしよーよー!てか眠いなら膝枕したげるよ?ほれほれ!おいで〜!」
·····うざい。とにかくうざい。全てがうざい。アホ丸出しのギャルみたいな話し方してる癖に見た目は若干清楚っぽいのがムカつく。適度に着崩すな·····スカート短くするな·····そんな歳じゃないでしょ。女子高生じゃないんだから。
「ほらほら〜遠慮せずにおいでってば!」
「ちょ、触らないでください!いや、力強·····!待っ·····わっ!」
「ふふ、どーよあたしの膝枕。適度に弾力がありつつも柔らかくて気持ちいでしょ?」
「自分の太ももについて語らないで貰えますか?キモイので。てか離して·····!」
力強すぎ·····!全然離す気がないし·····ムカつく!
何がムカつくって膝枕がちゃんと気持ちいい所が気に食わない。さっきの自己評価が嘘じゃない事を私の後頭部が感じ取ってしまっている。
てか、頭撫でんな!!
「ほらほら〜、抵抗せずに楽にしなって。仮眠、取るんでしょ?」
こんな状態で寝れるわけ·····寝れるわけ·····
え、なんか·····眠く·····なってきた?嘘·····
意識が保てなくなって落ちていく最中電話の音が聞こえた気がした。そこから先は意識が完全に落ちきってしまっていた
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新作〜人間不信のVTuber連載開始します!
何となくこんなシチュエーション書きたいなぁって思ったら書いていました。完全に見切り発車。ストックどころか今後の見通しすらたっていない状態です!今後どうなるか私にすら分かりません!きっと登場人物たちが勝手に自由に動き回るはず。そう信じて筆を取りました。
更新もめちゃめちゃ遅くなると思います!ナマケモノもびっくりする程の投稿速度になっても怒らないで欲しい所存。書きたいシチュエーションまでは頑張りますが·····その後続くかは分かりませんがどうぞよろしくお願いします!百合は入れる!絶対にだ!
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