《不死身》〜死ぬ度に強くなる能力を得た少女は、やがて永遠の死を望むだろう〜

ソラ

浮世とはままならぬものである。

第1話 神託

今日は、運命の日。

将来就く職業を決める日。

今日は……神託を受ける日。



「アリア・ナーデル。」

修道女の方から声がかかり、私はその豪華な机に置かれた水晶に触れる。

触れると、声が聞こえた。恐らく、これが神の声なのだろう。

「アリア・ナーデルよ。」

息を飲む。緊張がする。神託次第で、簡単に人は身分を失うから。

「其方は、英雄にも、厄災にもなれるだろう。」

それだけで、神託は終わった。

正直、訳が分からない。

先に神託を受けた友達は、「騎士になれ。」と神託を受けたというから。

何で、私だけ……?

呆けていると、修道女の方から声がかかった。

「来なさい。」

この人が、そんな言葉を発したのを見た経験は無かった。

私が、彼女についていくと……

手錠を嵌められ、地下の牢に閉じ込められた。

「…………え?」

困惑。そんな私に、修道女の方は語りかける。

「貴方は、英雄に選ばれました。そのため、私たち教会の指揮下に入るまでその扉を閉め切ります。返事は早くした方がいいですよ?」

シスターのその声と共に、「ガチャン!」という音がする。上を向くと、段々と天井が近づいて行く。

返事をしなければと思うが、声が出てこない。

「残念です。」

その声とともに、私の体は潰れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る