2人の未来は釣り合わない交換条件で〜不良男子とお嬢様の恋〜
雫 のん
第1話 完璧な人生じゃなくなった。
私の人生は完璧そのもの。
世界中の誰にだって、世界外の誰にだって誇れる、黄金に輝く薔薇色の人生。
だったはずなのに。
高等部に内部進学し、専門大学へ通い、光の魔法使いとして称賛され生きていくための、中学生としてかけがえのない最後の一年をこれから迎える、そんな春。
黄金だった私の人生は、たった数人によって目茶苦茶に壊された。
「アイツらさえいなければ……!」
今は夜。
誰の迷惑にもならないようベッドの上で、音を吸収してくれる分厚いクッションを全力で殴り、怒りをぶつける。
ぶつけても怒りは消えることなどなく、息は自然と荒くなり、肩もわなわなと震えるまま。
「こんな……こんなはずじゃなかった……!!」
そう、私が送る夜は、今日あったことは、明日からの学園生活は、こんな怒れるもののはずがなかった。
私の人生は他人なんぞに左右されるものじゃないし、低俗なクラスメートに汚されて良いものじゃない。
「邪魔なのよ……! どうして邪魔するの……!?」
布団の中で小さく叫ぶと無償に悲しくなり、自分を支配していたのは怒りよりも悲しみが強いことに気が付いた。
私の幸せを、平和に過ごすための必要条件を、どうして奪うの。奪われなくちゃならないの。
泣かない癖のつけられた私は涙など流せず、ただひたすらに嗚咽を漏らした。
健康にも美容にも悪い寝不足は避けたいから眠りたいのに、気持ちが全く落ち着かなくて、この晩は久しぶりに眠れなかった。
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