第32話 歌唱絶姫決定戦~2回戦~開幕!!
櫻井さんや新藤さんに振り回された昨日の事がまるで嘘みたいに目覚めのいい朝だ。それもそうだろう。
今日は歌唱絶姫決定戦2回戦のお題発表の日だ。現在時刻は8:58。9:00からGRASNOW公式ホームページより内容の告知が行われる。
一回戦はまさかの人気投票。奇抜な企画を通してきたもんだと思ったが、ここから先どんなお題が来るか正直全く想像が付かない。ただ、歌い手の大会と言うからにはそろそろ歌関連のお題が来てもいい筈なんだけどなぁ。
そうこうしてる間に時刻は9:00を指し示す。俺は急いでパソコンのカーソルをGRASNOWの新着のお知らせ画面をクリックした。
【歌唱絶姫決定戦 2回戦 お題】
~歌ってみた投稿対決~
・本大会参加者はGRASNOWが提示する課題曲計3曲を期間内にGRASNOW特設動画投稿サイトにて投稿する。投稿本数は1曲につき1本のみ。計3本の投稿をもって2回戦への参加証明とする。
・2回戦の期間は3ヶ月。1ヶ月毎に次の課題曲を発表。その都度レコーディングして投稿する。
・評価基準は再生数、高評価数、コメント数、トレンドなど様々な要素から判定
・上記の評価基準を基に1曲毎にポイントを算出。計3曲の総合ポイントを2回戦における獲得ポイントとする。
・1回戦(人気投票)と2回戦(歌ってみた対決)の総獲得ポイントを合算し、最終的な順位を出す。
・1曲目 課題曲 「可愛すぎてごめんねぇ/ConeyBorks」
・期間は本日から1ヶ月後まで。尚、動画投稿は期間内であればどのタイミングで行ってもよい。ただし期間内に投稿がなかった場合は無効とする。
・参加者同士でのコラボ禁止、参加者以外との複数人での歌唱も禁止。あくまで個人歌唱のみ認められるものとする。re-mix、歌詞改変、歌声の調整も禁ずる。
来たぁぁぁぁぁぁぁ!
遂に来たぁぁぁぁぁぁぁ!
歌ってみたが来たぞ来たぞ来たぞぉぉぉ!
ずっと待ち望んでいたこの瞬間、久しぶりに神童アリサの歌声が拝めるぞぉ。
新藤さんも負けず劣らず、これなら1発逆転狙えるのではないか。
あ、そうそう新藤さんと言えばちょうど昨日の夜、YouTubeやニコ動、Xにアカウントを開設したらしい。急ぎで作ったからまだ登録者、フォロワー共に1000人ぐらいだという。
いや、一晩で1000人って相当すごいことだけどね。
さぁ、俺達は神童アリサが大会に集中しやすいよう援護射撃でもやっとくか。
俺は京田に電話をかけ、サイトを更新しておくように言った。何とあのオフィシャル公式サイトの運営は京田、芦屋さん、俺、MADMAXの技術スタッフ数名の共同体制なのだ。高校生ながら京田と芦屋さんは給料を貰っているぞ。
俺には雀の涙くらいの金額しか入ってこないけど……。(まあ、サイトの大半はあの2人が作ったからしゃーない)
ああ、そうだ。新藤さんと櫻井さんにも頑張って下さいとLINEを打っておこう。あの2人もトップ10以内に食い込むまで駆け上がってくれたら嬉しいな。
そうして俺はできる限りの事をした。自身のSNSで告知を行ったり中のいい友達に神童アリサや新藤さん、櫻井さんらを紹介した。かなり布教したので戦況は多少有利に働く事を期待したい。
次の日――――
俺はルンルン気分で週明けの学校に向かう。芦屋さんにもイラスト制作のお願いをしようかな。そうだ、ミュージックビデオ作成にあたってキャラビジュアルの作画に芦屋さんを起用するようお願いするのもいいかも。あ、でも神童アリサのイメージディレクターにCHEGEBARAさんがいるからダメか……。んいやでも共同製作という線も……、ああ考えていてもしょうがない何事も行動あるのみ! まずは芦屋さんにでも相談してみよう!
そう思っていたのだが……。
「うっ、何かそこはかとなく嫌な予感がするな」
学校に到着した俺に待ち受けてたのは……
「増田、お前そこまでやる男だったとは! 見直したぞ!」
「増田、絶倫だな。あんな美少女2人も誑かして」
「あんなに冴えなそうなのに、そっちの方は激しいのかねぇ……、むるんふっふっふ」
「ぜはははは、浮気最高だよな!」
「驚いたねぇ」
「まんままんま」
嫌な予感は的中した。
「何だこれぇぇぇぇぇぇぇ!?」
学年掲示板に掲載されていた新聞、この記事の見出しはこうだ。
『【最低】あのクラスでプッカプッカ浮いていて顔面凶器日陰者増田がまたもや別の美少女とお忍びデート!?ゲスの極み不倫、卑劣男~男女の風紀を守り隊が緊急会合開催決定、実に4年ぶり~』
また新聞部の奴らかぁ!
何だこの誤解が誤解を呼ぶようなタイトルはぁ!?
それに半分くらい私怨が混じってない?
こんなに公平性が担保されないタイトルを付けるとは……、奴らは週刊新潮か!
くそ、懲りない奴らめ。前回お仕置きが足りなかったようだな。今度は絶対赦さない! 地獄の底まで追いかけてその穢れた頚を切り裂いてやる!
俺はメラメラと燃え滾るオーラを纏いながら新聞部の部室へと進む。
途中野次馬の質問責めにあったが、鋼の意志で全て薙ぎ倒して歩みを進める。
「フシュー、フシュー、待ってろ新聞部。今日こそお前らの命日だ!」
「お前が増田か?」
新聞部の部室のドアノブに手をかけた時、見知らぬ眼鏡の男子生徒に声を掛けられた。
「あ゛あ゛? そうだが、何だお前! 新聞部の回しモンか? 奥歯ガタガタ言わせて引っこ抜いたろかいワレェ」
普段なら絶対にしないであろう、ヤンキーみたいな言葉遣い。しかし、男子生徒は全く動揺せず、むしろ
「そんな反抗的な態度を取っていいんだな?」
と脅してきた。
「はぁ!?」
意味が分からない。どこからそんな自信が出て来るんだ。新聞部の奴らも胆力のある男を雇ったようだな。いいだろう、上等だ。そっちがその気ならやってやる。俺が言い返そうとしたその瞬間、
「こちら
え? 何? 何て? 寝る不? エヴ●? 何その機関。てかこの高校そんな物騒な組織あるの? 知らなかったんだけど。てか、何で俺が拘束されなきゃいけないんだ?
疑問を呈する暇もなく、男子生徒は手慣れた手つきで俺に手錠をかけた。そして手錠を引っ張りずるずると俺をどこかへ連行し始めた。
「ちょ待てよ。やめろよ。触るなよ。燕よ~♪」
「つべこべ言うな! 黙って歩け!」
ちょっとふざけただけでもこのキレよう。救いようがない。ならば……、
「あ~いとぅいまてぇ~ん!」
ボカッ!
普通に殴られて痛い思いをするだけであった。
――――――――――――――――――
「どうも、私が寝る不総司令、
うわぁ~、厨二くせぇ奴が出てきたぞぉ。次回は一体どうなっちゃうんだぁ~~~~!
後半へ続く!
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