第9話 久しぶりのカラオケ、しかし衝撃告白付き
何とか財布を手に持ち、カラオケ屋に戻ってきたのだが、既に新藤さんが外で待っていた。今日は花柄の服着てて可愛い~♪ じゃなくて! 女子を待たせてしまった。こういう時、男子が先に来てリードすべきなのに! 心証が悪くなってないことを祈ろう。
「ハァハァ……、すみません、新藤さん。時間前に来てくれていたんですね……、待ちました?」
「いえ、ちょうど今来た所ですけど、増田さん大丈夫ですか? こんなに息を切らして……、何かあったんですか?」
「いや、ちょっと道中混雑してて、遅れないように走ってきただけですよ」
「それならいいですけど…… 」
まずい、疑惑の目を向けられている。もしや、さっき女の人と喋っている所を見られた? いやいや、まさかな。ええい、こういう時は有耶無耶にして話題を変えてしまおう!
「何はともあれ、久しぶりのカラオケですね! 今日は楽しみましょう!」
「そうですね! 私も今日楽しみです!」
何やかんやでピンチを乗り切り、俺達は久しぶりのカラオケを楽しんだ。
もちろんメインはボカロ!
以下歌った曲。
『柊マグネット:バーシャル・ミニマライザー』
『
『cosMe@房総P:初熱みくの喪失』
『
『らりるれりり:脳天直撃ガール』
『
『バルタン聖人:
『
『まきとP:
『
『
『Mamaka!:ワールドエンド・ホームパーティー』
『さっき:メシマズライター』
『641:
『h-dnua:ソラBL雲上譚』
ちょっと張り切り過ぎたかもしれない。音程が高い曲やテンポが速い曲を歌いまくって喉が死んだ。
俺は歌い疲れてゼェゼェ言ってるのに、新藤さんは最初から最後まで歌が上手かった。本当に自分が霞んで見えるくらい。魅力的なんだよなぁ。神童アリサの大ファンも相まってか声も似てて、まるで至近距離でライブを聞いている気持ちになって心地良い。
あと流行りのアニソンも少し嗜んだ。
『
いい歌! 以上!
「増田さん! 前回よりも歌上手になってますね! もしかして練習しました?」
「はい! 前回みたいな醜態を晒す訳にはいかないので!」
「フフッ、何ですかそれ!」
他愛ない会話も幸せだなぁ。
あ、そうそう。カラオケ中にこんなハプニングもあったんだ。それは新藤さんが歌い終わった後の事だった。
「ハァー、喉渇いた」
そう言ってコップに入っていたメロンソーダを飲んだのが、
「しっ……、新藤さん。それ……俺のです……」
まさかのコップを間違えたのである。これって間接……、
「えっ……」
最初こそ状況を飲み込めていなかった新藤さんだが、だんだん理解してきたのか顔が紅潮し、湯気が吹き出した。
「ああ、すみません! すみません!」
そう言ってコップを2つ持って出て行った。
しばらくすると、新品のコップ2つ手に持って戻ってきて、
「さっきの事、忘れて下さい」
と恥ずかしそうに俯きながら言った。
「はい……」
そうは言っても俺はこの瞬間を生涯忘れないだろう。何しろ美少女の照れる姿なんて俺にとって皆既日食ぐらい見られないことだから。
お互いぎこちなかったが、ボカロを歌っているうちに恥ずかしさは薄れ、またいつものようにノリノリで歌い出したのであった。
そんなこんなしている内に2時間が経った。いやー、時間の経過というのはすさまじい。
って……、普通に楽しんどる場合かーー! 俺が今日来た目的を思い出せ。脈アリなら、猛プッシュしても問題ないだろう。
今日の新藤さんの反応を見るに、好意を持っているに違いない(邪推)!
マスロ、行きまーーーーーす!
「あの、新―――「すみません、増田さん。どうしてもお伝えしたいことがあります」」
あ、喋り出すタイミング被った。気まずい。え? でも何て? どうしてもお伝えしたいことって何だろう。もしかして……、向こうから……?
しかし、新藤さんが発した言葉は今までのことをかき消すぐらい衝撃的なものだった。
「しばらくの間、会えないかもしれません」
「え?」
まさに青天の霹靂だった。
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