カラオケでたまたま相席した美少女が、推しの超人気歌い手だったんだが
nira_kana kingdom
第0話 歌姫誕生のきっかけを作ったのはこの男ォ!
俺の名は
特に趣味といった趣味もなく、応援したいアイドルグループとかもない。彼女がいる訳でもないし、特段友達が多い訳でもない。部活にも入らないで、学校から帰宅したら即ベッドにダイブする。そして夜遅くまでだらだらYouTubeを見るという何とも自堕落な学生生活を送っていた。
そんなある日のこと、いつものように帰宅し、ベットに寝転がりながらYouTubeを見ていると、
「なんだこれ?」
オススメに『
「歌い手かなぁ? 最近は色んな人いすぎて覚えられないや」
俺は画面をスクロールしようとした、その時
「ん? ボカロ歌ってみたぁ!?」
そのワンフレーズが目に止まった。
実は俺、生粋のボカロファンで、中学校時代は色んなボカロを聞いていた。高校に入ってからも時々聞いてるのだが、周りの友達は部活が忙しいだとか彼女とデートに行くだとか、誰もボカロに興味を持ってくれないのでやきもきしていた。
そんな中、この神童アリサという人は昔の有名なボカロや最近話題になってるボカロまで幅広く網羅していた。
「なになに……、
俺は興奮した。そして思わず再生ボタンをタップしてしまった。
そして神童アリサの歌声を聞いて衝撃を受けた。何だこの透き通るような優しい歌声は。包容力に満ち溢れていて広い海原の中心にいるような心地良さ、そして耳に残る天使のような囁き声……、まさに……、神! それ神! もう一丁神!
俺は時間を忘れてその楽曲に没頭してしまった。
そのせいで母親に怒られたのはまた別の話。
俺は神童アリサの歌ってみた動画を再生し続けた。食事を採るのも、風呂に入るのも、トイレに行くのも我慢して聞き続けた。そして、気がついたら全ての曲を再生し終わっていた。
「くぅ~~、神すぎるぜ! このチャンネル。そういえば、チャンネル登録者はどれどれ……。ん? たったの73人? ふぁーー!? 少なすぎ。世間の目は節穴だぁ。それ、ポチっと俺が登録しといてやろう。すぐにでも100万人行くといいな。
あ、そうそう。ついでにコメントも書いとこ。誰も書いてねぇから俺が書く!」
コメントを書き込むこと15分……。
「いやー、結構長文になってしまった。でも、そのくらい感動したってことだよな! ちゃんと伝わるといいけど……、それ!」
俺は送信ボタンをタップした。無事送られたことを確認すると、
「ふぁー、明日も早いし寝るかぁ……」
そうしてスマホを手放し、寝た。
―――――――――――――――――――
「はぁ……。今日の動画も伸びないし、私やっぱり才能ないのかなぁ……。歌い手始めてからもう4年も経つし、そろそろ潮時かな」
自身のYouTubeチャンネルの削除ボタンにカーソルを合わそうとした時だった。
ピロン!
「あれ? コメント来てる……」
後に、これがネット界の歌姫と呼ばれる者の誕生のきっかけとなるのだが、彼らは知る由もないのである。
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