第2話
入学式から1週間が経ち、このクラスもスクールカーストが出来上がっていた。
このクラスにいるヒロイン達も、各グリープに所属している姿が見えた。
俺が原作で知っているヒロインは、このクラスに三人いる。
※勝と付き合っているヒロインの東村は除く。
まずは、一際大きいグループが視界に入る。
このクラス随一の男女混合陽キャ集団、当然ながらカーストトップのグループだ。
その中心には、いつも彼女がいる。
聖女のような微笑みを浮かべ、楽しそうに談笑している天使系ヒロインだ。
彼女の名前は、
身長は、140ぐらいでとても小柄。
髪の長さは、ミディアム…というのだろうか。
煌びやかに光る白銀の髪は少しウェーブがかっており、彼女が動くたびにふわふわと浮いている。
小さな顔には、大きく開かれたパッチリ二重。
鼻筋もしっかり通っており、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる。
その姿は、まるでゲームの中にいる泉の妖精だ。
性格も良く、男女共にとてつもない人気を博している。
次に、スポーティーで爽やかな女子の集団が目に入る。
こちらも中心にいるのは、体育会系ヒロイン。
まるで太陽の輝きのような、屈託のない笑顔で友人と話している。
そんな彼女の名前は、
身長は150程度で、水色の綺麗な髪をポニーテールにしている。
顔立ちも非常に整っており、短いスカートからスラリと伸びる、健康的で綺麗な脚はとても目に毒だ。
スタイルもスレンダーで、細身だ。
陸上をやっているので、無駄な肉がないのだろう。
性格はとても明るく、ちょっと天然が入った皆んなからの愛されキャラだ。
そして最後…。
最後のヒロインなのだが、実は全然情報がない。
なぜなら彼女は、2巻の最後にちょっと出て来ただけの新ヒロインだった。
どういう経緯でフラグが立つのかはわからない。
隣の席にいる美少女を見やる。
椅子に座る背筋がピンと伸びている。
様々な喧騒が聞こえる教室の中で、一人静かに読書するその姿は、まさに深窓の令嬢。
この一週間、彼女はどこかのグループと共に行動するところは見ていない。
もしかしたら、独りが好きなクール系ヒロインなのかもしれない。
すると、俺の不躾な視線に彼女が気づく。
少し切れ長で、アメジストのような美しい瞳と目が合った。
「…廣田くん。あんまり女性をジロジロ見るのはやめなさいっ。女の子はそういう視線に敏感なんだからねっ!」
彼女は、読んでいたページに栞を挟み、パタンと本を閉じる。
人差し指をビシッと指して注意してくる。
その言動は、まさにツンデレ。
全然、違った。
クール系じゃなくてツンデレ系ヒロインだった。
彼女の名前は、
身長は160ないぐらい。
色素の薄い紫色の髪は、一本一本がとてもサラサラだ。
毛先まで艶がある髪が、腰あたりまで伸びている。
顔はまだあどけなさを残しているが、将来、とんでもない美人になるコトが約束されている顔立ちだ。
スタイルも良く、どこかの雑誌でモデルやってます!と言われても普通に信じてしまうレベルだ。
「あ、はい。ごめんなさい」
本能的に謝罪をした。
照井は満足したのか、そのまま読書に戻っていた。
注意されてしまったので反対の窓側に視線を向け、空を見る。
今日もいい天気だ。
すっきりとした青空は、まるで俺の心が反映されているかのよう。
開幕早々の原作崩壊を知ってから数日間、ずっと悩んでいた。
何でこんなコトになったのか?
俺はどうすればいいのか?
悩んで、悩んで、悩んだ末、一つの答えに辿り着く。
その答えは…、何もしない、だ。
もう既に彼女がいる立場でも、勝は物語通りに行動するかもしれない。
他のヒロインは、彼女持ちの主人公に惚れるという悲しい恋から始まるが、それはもうどうしようもない。
俺は変わらず、主人公の親友キャラとして、ただ彼らを傍観していればいい。
そういう結論に至ったのだ。
「おーすっ!友人」
「おはよう、廣田くん」
「おはよう、二人とも。今日もいい天気だな」
主人公と選ばれしヒロインが登校してくる。
何の変哲もない会話をして、今日も一日が過ぎていく。
そう思っていたのに…、目の前ではとある事件が起きていた。
◼️
放課後、勝達と別れて自宅へと帰っていた。
学校から自宅までは徒歩で行ける距離。
廣田くんの記憶によると、この高校は近いからという理由で選んだみたいだ。
前世の友達にもそういう奴いたな。
懐かしいな。良く考えるともうアイツらには会えないのか…。
ちょっと、寂しいな…。
地元の商店街の道を歩く。
駅が近くにあり、それなりに栄えているので夕方でも人通りが多い。
すると、とある集団が目に入る。
「あれ?君、高校生?可愛いねぇ。良かったらお兄さん達とそこでお茶しない?奢ってあげるからさ」
「ごめなさい。急いでいるので」
「大丈夫大丈夫!怖くないから。お兄さん達、何もしないからさ。ちょっと付き合ってよ」
あら、ナンパだ。
引き止めたくなるほど、そんなに可愛い子が…って、天野じゃんっ⁉︎
ナンパされてんのヒロインじゃんっ⁉︎
はっ!そうかっ、これは原作の…。
茶髪と金髪のチャラチャラした男達が、天野をナンパしていた。
これは原作であったコトだ。
主人公の勝が二人のチャラ男を撃退して、ヒロインの天野と出会うシーンだ。
これは幸運だ!原作シーンが見られるなんて。
勝が来る前に何処かに隠れなくては。
速やかに電柱の影に、移動し見守る。
顔だけひょっこり出して、勝の到着を待つ。
しかし、待てども待てども主人公は来ない。
え、何でっ⁉︎何で来ないの⁉︎
こうしている間にも、天野は状況はどんどん悪くなる。
これ以上はマズイっ!
もう、誰でもいいから助けてやれよ!と思うが、相手は中々の筋肉質で強面だ。
人通りの多い道だが、すれ違う人間は見て見ぬふりをする。
「チッ!めんどくせーなっ。いいから来いっ!!」
「きゃっ。やっ、やめてくださいっ!!誰かっ、誰か助けてっ!!
天野の細い腕を無理矢理引っ張ろうとする茶髪のチャラ男。
彼女の悲鳴が届くと無意識に駆け出していた。
茶髪のチャラ男の肩をガッツリと掴み、告げる。
「おい、
うん、絶対に言葉選びミスったわ。
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