紅梅月
菜月 夕
第1話
梅が咲くころの月で紅梅の様に月も紅くなる時がある。
そんな月の下で恋を告白すると二人は結ばれると言う。
私がそんな話を聞きつけてしまったのは、彼女にずっと想いを告げようと考えつつきっかけがつかめない毎日が続いていたからだと思う。
普段は研究ばかりでそんなロマンチックな話なんて考えもしなかったのに。
彼女が僕の研究の手伝いに来るようになってから少しづつ僕の心の隙間を埋めて行って、気が付けば私の心は君の事しか考えられなくなっていたよ。
そうと知れば、紅月を調べてみよう。
月の色を調べると白から青。黄色から赤。色々な色を持っているのだと初めて知った。
そんな中で紅月は地平に近く、大気に埃や水蒸気が多いと紅く見えるようだ。
天気予報と気象条件を算出して彼女を少し遅くまで手伝って貰って月夜に送りがてら連れ出す。
「こんな月の日に告白すると結ばれると言うわずかな望みにかけてみたんだ。
僕と付き合ってください」
もう、ロマンチックもあるわけもなく何も包み隠さずぶちあたった。
「ダメねぇ。私もその話は聞いた事があるけど、あれは満月の時の話よ。
今日はまだ13日月なのに」
私は思考停止して立ち尽くした。
「でも私もそんな月を待って告白したいと思っていたの。
同じことを考えていたのね。嬉しい」
そして私たちは梅の咲くころになるとテーブルに一輪の梅を飾る。
何故かご飯のおかずに梅干しがついてくる。
君もきっとあの時の思い出が少し酸っぱい想い出だったのに違いない。
紅梅月 菜月 夕 @kaicho_oba
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