若葉 アルティメット地獄課配属

のんびり

第1話 アルティメット地獄課に配属

 母の執拗な取り立てにあったために、16歳で人生の幕を閉じた。


 幼少期は父に性的虐待を受け、離婚後はひもじい毎日を余儀なくされる。不幸になるために、あちらの世界に誕生したみたいだ。

 

 不幸の連続だった少女は、植物状態のままあの世に旅立つ。幸福に恵まれる機会は与えられなかった。一度でいいから、ツキを恵んでほしかった。


 地獄に旅立ったはずの女の頭には、わっかがついている。取ろうと試みるも、どうしても取れなかった。


 若葉の目の前に、顔が皺皺、色は腐敗したブドウさながらの男が出現する。


「セカンドライフへようこそ」


「セカンドライフって何?」


「あちらの世界で旅立ったものは、こちらの世界で生活することになる決まりがある」


 一度目はダメダメだったので、二度目は恵まれた人生を送りたい。最低最悪の生活は御免だ。


「おまえはアルティメット地獄課に配属する」


 アルティメット(究極)に地獄課がついている。よからぬところであることは、一瞬で察しがついた。


「私はどうして、そんなところに行かなければならないんですか。一ミリも納得できないんですけど・・・・・・」

 

 髭を生やした男は、軽い咳を行った。


「現実の行いによって、100段階の所属先がある。おまえはひどすぎたので、下から10番目の課に配属することに決定した」


「私は現実で何をしたというんですか。まっとうな権利を主張し続けただけですよ。私のやっていることはすべて正しいです」


 頭に浮き輪をぶら下げた男は、眉間にしわを寄せた。


「素直に聞き入れないなら、一番下のランクにしてやってもいいぞ。一番下のランクは、性別に関係なく裸生活を余儀なくされる。腕には監視カメラをはめられ、24時間の監視下に置かれる」


 男の意見を聞かなければ、ハイパーアルティメット地獄課に配属される。事態を悪化させないためにも、話を聞き入れることにした。


「わかりました。アルティメット地獄課に行かせていただきます」


「よし、魂をそちらに飛ばす」


 体は宙に浮くような感覚があった。数秒後、目の前にいたはずの男の姿は消えていた。

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