第18話

古城のフェスティバル最終日、華やかなパーティーが開催され、城内は煌びやかな装飾と笑顔で溢れていた。香織と涼介は、詐欺師たちを追い詰めるために緻密な計画を立てていた。


「香織、今日は決定的な証拠を掴むチャンスだ。奴らをこの場で逮捕させるためには、慎重に動かないといけない。」涼介は真剣な表情で言った。


「そうね。ここで奴らの悪事を暴かなければ、また新たな被害者が出てしまう。」香織は決意を新たにした。


パーティー会場には、豪華なシャンデリアが輝き、参加者たちはワイン片手に歓談を楽しんでいた。香織と涼介は、被害者たちと共に詐欺師たちの動きを監視していた。


「彼らはどこにいるのかしら?」香織は辺りを見回しながら言った。


「主犯格の男、マイケル・リードがいるはずだ。彼が今回の詐欺グループのリーダーだ。」涼介は冷静に答えた。


マイケル・リードは、高身長で洗練された装いの男だった。彼は参加者たちと笑顔で話しながらも、その瞳には冷酷さが宿っていた。香織と涼介は、彼の動きを注意深く見守っていた。


「香織、マイケル・リードがあの女性と話している。彼女も被害者かもしれない。」涼介は指をさして言った。


「ええ、彼の動きを見逃さないようにしましょう。」香織は頷いた。


マイケル・リードが女性に話しかけている間、香織と涼介はそっと近づき、その会話を聞き取ることに成功した。彼の言葉には、やはり詐欺の手口が含まれていた。


「あなたが本当に困っているのなら、私が助けます。大金が必要なんですか?私に任せてください。」マイケル・リードの言葉は滑らかで説得力があった。


「これで確信が持てたわ。彼が詐欺師よ。」香織は小声で涼介に言った。


「今だ、警察に知らせよう。」涼介はすぐに行動に移した。


涼介は会場の隅で待機していた警察官に合図を送り、彼らは静かにマイケル・リードに近づいていった。その瞬間、香織は勇気を持ってマイケル・リードに話しかけた。


「リードさん、少しお話ししたいことがあるんです。」香織は微笑みながら言った。


マイケル・リードは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔を取り戻した。「もちろん、何でしょうか?」


「実は、あなたが行っている詐欺行為についてです。」香織は冷静に言った。


マイケル・リードの顔から笑顔が消え、彼は鋭い目で香織を見つめた。「何を言っているんだ、君は。」


「これを見てください。これがあなたが詐欺を働いていた証拠です。」香織はスマートフォンの画面を見せ、マイケル・リードが送ったメッセージと偽造された身分証明書を見せた。


その瞬間、警察官がマイケル・リードの背後に現れ、彼を取り押さえた。「マイケル・リード、詐欺の容疑で逮捕する。」


マイケル・リードは抵抗しようとしたが、警察官たちの手によって動きを封じられた。彼の冷酷な計画は、ここで終わりを迎えた。


「あなたはもう逃げられません。被害者たちに対して償いをしなければならない。」香織は毅然とした態度で言った。


「くそっ、こんなことで終わるなんて…」マイケル・リードは悔しそうに呟いた。


パーティー会場にいた参加者たちは、一連の出来事に驚きながらも、香織と涼介に感謝の意を示した。被害者たちも、自分たちのお金が返還されることに安堵していた。


「香織、涼介、本当にありがとうございました。私たちのために尽力してくれて感謝します。」田中静子は涙を浮かべながら言った。


「静子さん、他の被害者の方々も、これで少しは安心できるはずです。」香織は静子の手を握りしめた。


「私たちができることをしただけです。これからも、お困りの方々の力になれるよう頑張ります。」涼介も微笑みながら答えた。


フェスティバルの最終日、古城の夜は再び静寂を取り戻した。香織と涼介は、美しい城の景色を眺めながら、新たな冒険への期待を胸に秘めていた。


「涼介、次はどんな事件が待っているのかしら。」香織は夜空を見上げながら呟いた。


「どんな事件が来ても、一緒に乗り越えていけるさ。」涼介は力強く答えた。


古城の壮麗なライトアップが、二人の未来を照らし出していた。新たな謎と冒険が待つことを感じながら、香織と涼介は次の一歩を踏み出した。


こうして、ヨーロッパの古城での冒険は幕を閉じ、彼らの探偵としての旅は続くのだった。

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