第11話
香織と涼介は、北村隆一がジョン・スミスをターゲットにした理由を探るため、さらなる調査を決意した。彼らはスタジアムに戻り、周囲の観客やスタッフに話を聞くことで、事件の背後にある真実を解き明かそうとした。
スタジアムの賑わいは続いていたが、香織と涼介の心には重い疑念が渦巻いていた。ジョン・スミスが意識を失った直前に飲んだビールが、何かに汚染されていた可能性が高い。そのビールに毒を混入したのが北村であるという確証を得るため、二人は証拠を集めることに専念した。
まず、香織と涼介はスタジアム内のセキュリティオフィスに向かった。セキュリティ責任者のマイク・ジェンキンスが彼らを迎え入れ、監視カメラの映像を確認する手助けをしてくれた。
「ここがセキュリティルームです。全ての監視カメラの映像はここで管理されています。問題のビールスタンドの映像を確認しましょう。」マイクは彼らをモニタールームに案内した。
香織と涼介は、監視カメラの映像を細かくチェックし始めた。画面には、スタジアム内の様々なエリアが映し出されていた。ビールスタンドの周辺の映像を見つけた二人は、注意深く再生ボタンを押した。
「ここだ、香織。北村がビールスタンドに近づいている瞬間だ。」涼介は画面を指さした。
映像には、北村がビールスタンドの周りをうろつき、何かを探している様子が映し出されていた。彼の行動は明らかに不自然で、何かを隠そうとしているように見えた。
「何をしているのかしら…」香織は眉をひそめながら画面を見つめた。
その時、北村がポケットから何かを取り出し、ビールカップに何かを混入する瞬間が映し出された。香織と涼介はその映像に釘付けになった。
「これが証拠だわ。北村がビールに毒を混入した瞬間。」香織は興奮を抑えきれずに言った。
涼介も同意し、「この映像を警察に提供しよう。これで北村を逮捕できる。」
二人はすぐにセキュリティオフィスを後にし、警察署に向かった。警察署では、担当刑事のジョンソンが二人を迎え入れた。
「こんにちは。先ほどの事件について、重要な証拠を持ってきました。」涼介は映像のコピーをジョンソンに手渡した。
ジョンソンは映像を再生し、北村がビールに毒を混入する瞬間を確認すると、驚きの表情を浮かべた。「これは決定的な証拠だ。すぐに北村を逮捕する手続きを進める。」
警察は迅速に動き、スタジアムにいた北村を逮捕した。取り調べが行われ、北村は最初は否定していたが、映像という確固たる証拠の前に次第に追い詰められた。そして、彼は最終的に自白した。
「ジョン・スミスが私の賭博活動を知り、それを暴露しようとしていたんだ。彼を黙らせるためには、あのビールに毒を混入するしかなかった。」北村は冷静に語った。
香織はその言葉を聞いて、「あなたがそんなことをするなんて…光田竜一の信頼を裏切ったのね。」と憤りを感じた。
北村は無表情で、「すべては金のためだ。私はただ金が欲しかった。」と答えた。
ジョンソン刑事は北村を連行しながら、「これで一件落着だ。君たちの協力に感謝する。」と言った。
香織と涼介は、事件が解決したことに安堵しつつも、北村が光田竜一やファンたちの信頼を裏切ったことに心を痛めていた。
「でも、これで光田さんも安心してプレーできるわね。」香織は涼介に微笑みかけた。
「そうだな。彼の実力は本物だ。これからも素晴らしい活躍を見せてくれるだろう。」涼介も頷いた。
香織と涼介は、事件の解決を祝うために再びスタジアムに戻り、光田竜一の試合を観戦することにした。二人はカリフォルニア風フィッシュタコスを再び楽しみながら、光田の見事なピッチングに声援を送った。
事件が解決し、新たな冒険が彼らを待っていることを感じながら、香織と涼介はスタジアムの熱気に包まれていた。
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