エピソードXI 悪魔の日 前編

国家解体戦争期、宇宙にはインディバル・パーシュート社の開発した宇宙軌道衛星掃射砲があった。全長二十キロ、直系七キロの巨体には多数のレーザー砲台が搭載されていた。

しかし、システムを残して一度も使われず、今では何もしようがないただの遺跡となった。ただの遺産となり、使い勝手も悪く、今となっても使われていない。

だが、今その砲台はある役目があるのではと考えられている。その巨体を生かした攻撃もできるのではないか。

だが、それは夢に終わる計画に過ぎないのかもしれない。何せ、システムの根本を解除する方法を今誰として知らないのだから。


そして新型機がき始めて早くも一週間が過ぎようとしている。前のようなせわしない日々が戻るとでもいうのだろうか。今現在、いい状況が続いてるわけではない。

何とブリッツがやられる可能性があの頃と比べて跳ね上がり、白い悪魔の名はすたれていってしまった。ただ、まだマークIIを超えるものはないようだ。

小柄なボディーに秘めている可能性とはどんなものなのだろうか。この小さく凝縮されたアウトレイジは何を伝えようとしているのだろう。

そしてデッキにある真改・ブリッツのファイアリングを交換した。本当にかっこいい機体だよ。ブリッツをさらに洗練したこのデザインはいい。侍のような風格ですら感じる。

そうして点検を終えてデッキから降りると、携帯に緊急放送が入った。何事だ?

『緊急事態発生!!敵移動要塞三十隻がこちらに侵攻中!!繰り返す!!敵移動要塞三十隻がこちらに侵攻中!!至急、護衛部隊を除くファイターは接近阻止せよ!!』

「くそっ!!そいつが防げたらマキシマムランカーものだよ!!」

私は急いでブリッツのコックピットに座って寝てるローマをたたき起こし、移動要塞のことを伝えた。すると彼は眠そうな目から焦ってる目に代わり、コックピットから飛び起きて急いで準備を始めた。

「敵は正気か!?まあいい!あとから行くから、エースは先行け!!」

「分かった!!」

そして私は急いで四番カタパルトへ行った。相変わらず変わらない。この一本の道だけは。

「こちら真改・ブリッツバイエース!!四番カタパルトにてスタンバイ!!」

『了解!!射出する!!』

そして射出されたのち、イグニッション・スラスターを吹かした。そして指定する場所に行くと、編隊を組んだ移動要塞があった。すべて重装型バスターだった。

こいつは…いけるか?それとも、逝けるか?

そして移動要塞の足元を見ると、やられたブリッツの残骸が大量に転がっていた。

私は心を無にした。流れる水の如く滑らかに、劫火のように力強く。切ることだけを考えた。

そして行く道をすべて想像し、斬る目標をすべて見極めた。

斬。

その一文字だけが頭に残った。

スロットルバーに手をかけた。

さあ、行くとしよう。

オーバードライブ起動!!赤い閃光となって私は一気に進んだ。

迫りくるミサイルやレーザー、キャノンをもろともせず。

流れる水のように滑らかな刀さばきとともに突き進んだ。

閃光の中を燃える風となって斬っていった。

最後の一隻。一気に切り上げる…!

そして舞い上がる土埃とともに着地し、一つこう思った。

終止…

そして太刀を鞘に収めた。

そして振り向くと、なにも切れていないように見えるバスターがあった。

しかし、風が舞い上がった瞬間、移動要塞の上部は三十隻すべてが一刀両断された。

そして派手は土吹雪とともに要塞はバラバラになった。

どうやらやったようだ。私は帰還することにした。

そして戻り、デッキに平然と機体を戻すと、そこには驚いた顔をした社長が立っていた。

「エース君、君、すごいことをしてしまったな。なんと単機で移動要塞三十隻を五分もかからずに迎撃だと?参ったよ。君の機体と、おんなじ種類の機体には第五等級ではなく、マキシマムランカー等級となるだろう。

それぐらいのことを君はしたんだ。」

開いた口が塞がらない。私はやったのだ。フォーデンたちのように生きる伝説のなってしまったのだ。

そして私はデッキの前の作業スペースに行くと、皆私のこと見てくる。何があった。

そして自分の作業スペースにつくと、フォーデンが待っていた。

「すごいことをやったな!おめでとう!これで俺らの仲間入りだ!これからも頑張ろう!」

「あ、ありがとうございます!生きる伝説に言われるとは光栄です!」

「今日から君もそうだ。生きる伝説となったのだよ。」

フォーデンは去っていった。彼の背中は頼りがいのあるものだった。私もああなれるのだろうか。

その後、データディスクをパソコンにつなぎ、今日のデータを調べて調整の結果を見てみると、またしてもとんでもないことが分かった。

この前施したチューニングがまさかのベストのチューニングだったのだ。

こんな奇遇は普通ない。どこをとってもこれ以上あげても下げても今の状態にはならない。なんという幸運なんだ。何かの御縁なのか?これは?

パソコンの前に私は座りつくした。こんなことは生きてて初めてだ。人生まだ二十八年で聞いたこともないし、できたこともない。こんな奇遇があっていいのか。

すごすぎる幸運を前にして座りつくす私にローマが声をかけてきた。

「エース、お前すごいな!!マジで尊敬するよ!!」

「ありがとうな。」

「ところで、次の任務が来たぞ。今度は相手の最後のフロンティア、二社連盟の建造した大型宇宙港の制圧のようだ。これが終わればもう終結したも同然だな。」

「そうだな。」

私はデータデスクを取り、一息ついた。立ち上がり、デッキに向かうと、そこには伝説となったブリッツがいた。相変わらずの雄姿だった。

そして今回はガローニ、ローマとともに行くようだ。ほかのものは本部の護衛に当たるそうだ。

私はふと携帯を見ると、恐ろしいことが書いてあった。かなりまずいかもしれない。

"インディバル・パーシュート社、全支部及び本部が攻撃を受ける。全支部壊滅状態にあり。”

なんだこれは?まさかほかのところにも移動要塞が来たというのか。ならば時間の問題となるだろう。急がなければならなさそうだ。

ブリーフィング室へと急ぎ、ミッションの概要をつかんだのち、急いで真改・ブリッツに乗った。今回の目標は遠い。遠征となるだろう。

「二人とも準備はいいか?」

『ばっちりだ!』

『突っ切ってやりましょうよ!!』

「なら行こうか!」

そしてセーヴェルブリッツに乗ったガローニと、ブリッツMK.IIを駆るローマ、そして真改・ブリッツの三機で行くこととなった。本部の護衛に人数を多く回したみたいだ。

「早速だが、長いフライトになるだろう。気を引き締めていこう。」

『了解だ!』

『やってやりますよ!!』

それぞれカタパルトについた。そして風となって出発した。

しかしさっそく敵だ。敵の新型機二十機を確認した。多い。おそらく本部に向かっているのだろうが、排除対象だ。やるとしよう。

「敵数二十!やるぞ!!」

『機体の核は相手の方が上だろうが、技量は私の方が上だ!!』

『フライにしてやりますよ!』

一気に急降下。迫りくる銃弾をかいくぐりながら、相手を切りにかかる。しかしやはり強い。今までとは全く違う。

レーザーブレードと太刀が火花を散らす。

一気にイグニッション・スラスターで加速し、ブレードもろとも機体を切った。これでまず一機。

次に向かおうと振り返ると、ガローニはかなり苦戦しているようで、すでにピンチだった。そしてローマもなかなかに苦戦していた。

私は援護のために、一気に加速し、太刀で五機ほどを切り刻んだ。

そして残りはみんなで固まって仕留めた。やはり強いな。ただの人工知能ごときに苦戦するとは。ブリッツが相対的に弱くなったわけだ。もしホールを強襲していなければ私たちは危なかっただろうに。

「残すはあと少しだ!!やるぞローマ!!」

『任せとけ!』

そして私は太刀をふるい、ローマはハイレザーキャノンで蹴散らしていった。

最後の一機まで減らした。さあとどめようか。

イグニッション・スラスターフルスロットル!リミットオーバー!!

一気に加速し、突きに出た。

ドスッ!!

一気に期待に風穴を開けた。風穴の空いた機体は倒れた。一旦終わった。

「大丈夫か?みんな。」

『なんとかな。まさか白い悪魔がここまで弱くなるとはな。』

『大丈夫だ。それにしてもガローニはすごいよ。いつもほしいときにいる。しっかりした奴だな。』

『ありがとよ!この先も頑張ろう!』

「そうだな。それじゃあ、宇宙港の襲撃へ急ごう。」

再び青い火を散らしながら進もうとした。その瞬間…

ボッ…!

倒した残骸が燃えた。

しばらくすると周りに散ったファイアリングの破片に引火したようだ。

まずいぞ…!爆発する!

「みんな離れろ!ここら一体が吹き飛ぶぞ!!」

『何!』

『例のファイアリングか!』

イグニッション・スラスターを使わずに五百メートル離れたその時…

ドゴーーーン!!!!

一気に爆発し、あたり一帯が吹き飛んだ。なんて危険なんだ。気を付けなくてはな。ファイアリングの引火には。

『危なかったな。まさかの自爆で死にたくはないな。』

「そうだな。ガローニ。それはそうだ。」

『まあ次から気を付ければいい。』

焦った表情が抜けないまま、再び任務に戻った。本当に危なかった…

また少し進んでいると、もうすでに日が暮れてきた。ハイパーパーパスを使いたいが、あれだけ高出力な炎を出すのだ。ファイアリングに引火しかねない。それで今回は使えないわけだ。

通常のスラスター程度では引火しないが、極めて高い温度の炎や、長い時間出ている炎があるところでは引火する可能性が否めない。それで今回は使わないということになった。

しばらくはこのまま飛行しようと思った矢先…

ヒュン!

横を弾丸がすり抜けていった。おそらくあの速さと大きさからして移動要塞だろう。

「この先に移動要塞があるみたいだ。私が先に行って片付けてくる。そっちは頼んだ!」

『あいよっ!!』

『任せとけ!』

イグニッション・スラスターを展開し、極音速をも超える速度で一気に敵の移動要塞が見えるところまできた。相手はどうやら強化型の移動要塞、サイレンみたいだな。

浮遊型で、攻撃力は馬鹿にできない。一歩間違えれば自分が死んでしまう。

相手の武装は高出力レーザーキャノンが何百機とついているほか、大口径主砲がついている。食らえばさすがの真改・ブリッツだろうと木端微塵だ。それは困る。

さっそく懐に入ろうとするが、相手の高出力レーザー砲で近づけない。

しばらくは弱点を探しながらプラズマガンで牽制するが、進展がない。

そしてまた攻撃しようとしたその時、敵が子機を展開した。なかなかに鬱陶しい。

今度はハイレーザーをよけながら子機どもを蹴散らしている。しかしこれはまずいな。

そう思った次の瞬間…

シュバーン!!

大口径の怪物スナイパーライフルの音ともに子機がバラバラになった。

シュバーン!!

またもう一機…もう一機…

音ともに子機は消え去り、特に障害もなくなった。射角から位置を割り出すと、そこにはローマが狙っていた。さすがだな。信じていたよ。

『エースに手を出す前に俺から片付けるんだな。』

一気に場は優勢となった。さらにガローニも加わり、アンチアームドで、レーザー砲台をひたすらにつぶしていった。

大迫力だ。

その間に私はイグニッション・スラスターの出力を限界まで上げて、一瞬で一刀両断する準備をした。

抜刀!!

一気にまっすぐ斬った。心臓の鼓動と動きがすべて寸分狂わずに重なった。

「終止…」

廃ビルの上に着地し、また振り返った。すると真っ二つになったサイレンが落ちていった。

ジェネレーターの破損で動けなくなったのだろう。周りの建物を押しつぶしながら落ちてゆく。

落ち行く要塞とともにガローニとローマは飛んできた。

そしてガローニが無線をつないだ。ガローニは少しうれしげだった。それもそうだろう。

『やったな!エース!それじゃあ宇宙港へ急ご…』

だが、次の瞬間、絶対に怒ってほしくない最悪な出来事が襲った。

ガゴン!!

「ガローニ!!」

『ガローニ!!…おいマジかよ…』

「誰がやった?!」

何者かがガローニの機体のコックピットを撃ち抜いた。ぽっかりと風穴があいた。

ローマはシールドを構え、私も太刀を構えた。その時…

シュバーン!!

私の方に弾が来た。だが反応できる速度だ。

太刀を振り、弾の中央を切断した。アウトレイジが共鳴しながら弾を切り裂いた。

『射角から割り出せそうだ!!』

そしてローマは、割り出した座標を共有し、そこに向かってイグニッション・スラスターで一気に接敵し、居合切りを試した。

ザンッ…

どうやら急所は外れたようだが、スナイパーを切ることはできたようだ。

太刀を構えなおし、振り向くと、そこには高性能型の新型機がいた。

さっそく斬りにかかるが、どうにも相手も反応が速く、斬れずに、鎬を削ることになった。

そこにローマがキャノンを撃つが、あっさりよけられた。なんだこいつは?

それどころか、キャノンを撃ったローマに突進し、近接を挑みだした。まずい。

急いでまた太刀を振るうがどうにもかわされる。

強い。

太刀打ちできないほどではないが、厳しい相手だ。

いったん距離を取り、ローマに引き付けてもらっているうちに、少し思いついたことをしてみることにした。

「ローマ!しばらく引き付けてくれよ!!」

『任せろ!!』

全アクチュエーター出力を太刀をフル右腕に集中させた。

そして一呼吸着いた。

斬る。

それだけを考えた。

「ローマ、離れろ!!」

一気に太刀を振るった。

極音速の何倍も速い速度だった。

ザシン!!

そうするとアウトレイジの刀は真っ白な斬撃を放った。

その斬撃は余裕で敵の胴体を切り裂き、その先の廃ビルをも切り裂きながら前進した。

恐ろしい威力だ。

そして、下半身が使えなくなった敵を一刀両断した。

ザシン!!

無事に仇を取ることに成功した。

『エース。ガローニは残念だ。だが、彼のためにも先に進もう。』

「そうだな。敵はとれた。あとはこいつらの派遣主に落とし前を付けてもらわなきゃな。」

太刀をしまい、またスラスターで進んだ。

最悪な一日になった。この先このようなことがなければいいのだが、そうにもいかないだろう。

どうすればいいのやら。今度は私がやられる番かもしれない。

とりあえず急ごう。まだ任務は残っている。

またスラスターを吹かして、宇宙港に向かう。

今度は速度を上げて、もっとハイペースで進んでいった。

途中何度か敵に出くわしたが、イグニッション・スラスターの敵ではない。一瞬で一刀両断してやった。

それにしても扱いやすい機体だ。体のように操れる。

アウトレイジで作られた真改は敵を斬る度に共鳴している。斬れないものはないようだ。

恐ろしく忠実でよく切れる刀だ。間違ってを自分を切りたくはないな。

また進むと、敵と出くわした。また一刀両断しようとイグニッション・スラスターを展開した時…

パシン!!

指に弾が当たった。特に損傷も何もしてないが、今ので太刀を落としてしまった。

「まずい!!太刀を落とした!!」

『急いで拾え!!』

スラスターを吹かして、回収しに行くと、そこには刺さった太刀があった。

そして私が手にかけようとしたとき、敵の高性能機がそれを抜いた。

「まずい!取られた!!」

『こっちで何とかするから今のうちに何とかしろ!!』

全ての熱エネルギーを拳に集中させ、鉄拳を撃とうとしたその時…

ドゴン!!

急に太刀を拾った機体の腕が千切れ、燃え始めた。

「何だあれは!?どうなっているんだ!?」

『分からねぇ!!』

だんだん灰になっていく。もう気が付いた時には全部灰になっていた。

風と共にその灰ははらはらとなくなっていった。

私は驚き、棒立ちになってしまった。

なぜ燃えたんだ?なぜ灰になったんだ?

まさかこの刀が?

いやそんなはずはない、自分や、ローマ、整備班たちが持っていても何も問題ないのに。

私は落ちている謎に満ちた刀を拾った。そして、月光に照らしてみると、虹の筋が刀の淵をなぞった。その筋は自分の手に向かって伸びていき、柄のあたりで消えている。本当に不思議だ。

その時だ。急に今まで謎だった文字がゆっくり変形していき、私たちの読める言葉となってまた現れ始めた。

“この刀に触れし者、刀の主には向かうべからず。掟を破りし者、灰となり消えるであろう。”

その言葉を読むと、謎がわかった気がするが、謎が一つ増えたのだった。

そもそもアウトレイジは謎が多い。まさか月光と密接な関係があるのではないかと思うが、他にも何かの条件があるようなんだ。それはまったく、いや、誰もわからない謎のことだ。

というかなんて恐ろしい太刀なんだ。これは。

「ローマ、この刀すごいぞ。なにせ…」

さっきのことを放すと、ローマも驚いたような顔をしていた。

『驚いたな。そんな危なっかしいものっだったのかよ。』

「何か分からないけどな。だが、まあ敵の手に落ちることはないだろうね。」

『そりゃあ、持ってエースをぶちのめそうとするもんなら灰になるんだからな。』

「そうだな。それじゃあ、そろそろ行くか。棒立ちしてても始まらないからな。」

私は太刀を収めて、また飛んだ。青い閃光が月光に照らされている。

途中まで進んだところで止まり、森の中でブリッツに乗って仮眠を取った。明日に何が起こるのかをいまだに私は知らない。

生きる伝説の称号。まだもらって一日もたっていないが、それでも何かが変わったような気がする。

真改・ブリッツ。これが私の永遠の相棒となりうるのだろうか。

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