桜が咲く頃に恋をした

夜空らむね

第1話 これは恋なのか


就職が東京に決まった。

引っ越しの為、自分の部屋を整理していると高校時代の懐かしい日記を見つけた。



2013年4月×日

萌音ちゃんといるとドキドキするし、抱きしめたいって思う。

これって、恋なのかな?

男の人を好きになったことはある。

女の人も好きって変なのかな?

携帯を取り出し、検索する。

バイセクシュアルといって、どちらも好きな人が存在するらしい。

その言葉を見つけた瞬間わたしのことだ!っなって安堵した。

とはいえ、百合よりBLが流行ってる昨今。

渦中の友達は百合が苦手だ。

告白しても叶うことないし、嫌われてしまうかもしれない。

でも、好きで好きで仕方がない。


2013年5月×日

萌音ちゃんとテス勉した。

帰り道、好きすぎで抱きしめそうになった。

でも萌音ちゃんの押してた自転車があって助かった。

最近、好きって気持ちが溢れ出してどうにかなりそう。


2013年7月×日

萌音ちゃんに会えてない。

わたしも彼女も受験生。

勉強の邪魔したくない。

会いたくて仕方ない。


2013年8月×日

もうすぐ学校だ。

萌音ちゃんに会える。



高校時代の萌音ちゃんとのこんなエピソードを思い出した。

あれは夏休みあけ学校でのこと。

「あすかちゃんとめっちゃ会いたかったけど、邪魔しちゃ悪いなって思って誘わなかったんだよね。でも、塾の子に誘われて1回遊んだけどね」

「わたしも。会いたけど悪いなぁって。塾の合宿は行ったけどね」

あははとお互い遠慮がおかしくって笑いあった。


懐かしい。

すごくすごく優しいところが好きだった。

今でも好きだけど。


互いに励まし合いながら勉強し、ふたりは大学に合格した。

わたしは、県内。

萌音ちゃんは東京。

年に数回こっちに帰省したときには、必ず会っていたし、わたしが東京に遊びに行ったときも毎回会っていた。


なんとか部屋の整理も終わり引っ越しの準備も終わり、新幹線に乗っている。

見慣れた地元の景色がどんどん知らない景色に変わってていく。


待ち合わせの場所に行くと、あの人が元気よく手を振った。

「あすかちゃーん!会いたかったっ!」

そう言ってわたしに抱きついた。

「わたしもだよ。萌音ちゃん」

「これからはずっと一緒だね!」

語尾にびっくりマークをつけそうな勢いで話す彼女。

そうずっと一緒なのだ。

仕事を機に同棲することが決まった。

病めるときも健やかなるときも。





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桜が咲く頃に恋をした 夜空らむね @yozora_ramune

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