妹と十数年ぶりに再会した俺は捨てた両親に復讐を誓う

ゆきいろ

第1話猫を助けようとする女の子

 高校二年生になって始めての授業から俺は授業に遅刻していた。


 だが遅刻したのにも大きな理由がある。それはほんの数分前まで迷子のおばあさんの道案内をしていたからだ。


 俺は育ての両親から困った人がいたら無視せずに助けてあげるように言われて育てられた。

 

 だから困っているおばあさんを見過ごす事なんてできずに助けてあげた。そしたらおばあさんからお孫さんにあげる予定にしていたお菓子をお礼で数個もらった。


 おばあさんと別れると俺はもうダッシュで学園へと向かっていた、その途中桜が満開に咲いてる木の所を見て足を止める。


 その桜の木に俺と同じ学園の制服を着た女子生徒が桜の木の上を眺めていた、すると女子生徒は桜の木を登り始める。


 それを目撃した俺は学園に向かうのを止めてすぐに桜の木に近づく。


「おーい、そんな高い所に登ると危ないだろ」


 俺は木の上に登って座り込む女子生徒に声をかけた、近くに他にも桜の木はあるが女子生徒が登った桜の木は他の桜の木よりも高かった。


 だが女子生徒は俺の言葉など聞こえていないようだ、一体あの子が何をしようとしてるのか俺はあの子視線の先を見る。


 すると女子生徒の真正面に威嚇を鳴き声を上げながら猫が立っていた。


「大丈夫、ほらそこにいると落ちちゃうからこっちにおいで」


 女子生徒は猫にパーの手を出し近づけて何か言っているようだが、ここからでは聞こえない多分猫が落ちたら危ないと思って助けようとしていると思うのだが。


 猫はだんだんと女子生徒から距離を取るように後ろに進むと威嚇していた猫は下に落ちてきてしまう。俺は慌てて制服を脱ぐと落ちてきた猫を制服を使って抱く。


 猫はそのまま俺から離れて逃げ足のように去っていく。


「あなたがいてくれて助かりました」


 俺は木の上に登っていた女子生徒を下に降ろすのを手伝い、その女子生徒から頭を下げられお礼を言われた。


「まぁ猫を助けたかった気持ちは分からなくもないが、いくらなんでも女子があんな所に登るのは危ないから今度からは気をつけた方がいいと思うよ」


「はい、その通りです。猫を助けてあわよくば少し撫でさせてもらおうと思っていました」


 少し不思議な子だ。顔と髪をみて思ったが綺麗なロングストレートの黒髪、俺の義妹も可愛いが義妹とは違いお人形のように大人しくかわいらしい見た目の子で、それに丁寧らしい言葉使いに多分どこかお金持ちのお嬢様か何かだろうなと思った。


「そして少しお尋ねしたいのですがその制服私と同じ学園のようにみえるのですがもしよろしければ学園までご案内してもらえないでしょうか」


 聞くとどうやら学園に向かう途中さっきの猫を見かけてそのまま猫を追いかけたらここは知らない道だったようだ。


「俺も学園に向かう途中だったしいいよ、一緒に行こうか」


「ありがとうございます。申し遅れましたが私、皇鈴すめらぎすずと申します」


 その名前には少し聞き覚えがあったような気がする。


 だが俺は何も言わずに皇鈴と名乗った女子生徒に学園までの道を一緒に歩いて案内した。


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