14.『ディザイアー・スプリット』(著:黒月水羽)

<作品URL>https://kakuyomu.jp/works/16818023213444387057

【ジャンル】現代ファンタジー 【完結済】93,616文字


※長編のため、case1 「睡眠」(1-9)までを読んだ感想になります。


 異能者たちが繰り広げる現代ファンタジーです。

 王道で良いですねぇ~!^^

 特に、ストレス社会というリアルに近い世界観で、ストレスが原因で異能を発症する、という設定が良い。 

 とんでもファンタジーではなくて、リアルでありそうな設定が良い。

 現代ファンタジーは、異世界ファンタジーと違って、舞台が現代になりますからね。いかにリアルな現実世界を描きつつ、そこに不自然にならないファンタジー要素を入れるかは、とても大事だと思います^^


 話の流れは、エンタメ作品らしい流れになっていて、筆者様は、よく小説を読まれる方なのだろうなと感じました。


 冒頭の書き出しも、すごくいいですね!


「眠い。とにかく眠い。」


 この章の内容をよく現した一文で、読みやすくて、すんなり物語に入れます。

 ブラック企業に勤める社員が睡眠不足で、寝たいという願望(ディザイアー)を発症する、という理由付けもリアルで良かったです^^

 その所為か、この章を読んでいる間、私も眠くなりました(笑)

 いいなぁー周りをみんな眠らせてしまえば、仕事に行かなくていいなんて!

 ……あ。でも、私、在宅ワークだから関係ないや( ºωº )


 個人的には、希のディザイアーが欲しいww

 モフモフは、キャッチコピーでも使えそうですね!

 最近のパワーワードですから♪


 八木原やぎはら のぞみですが、「希」という名前から、最初、女性を想像しました。満に対しては、容姿から服装まで細かく描写がされているので、それと比較するように男性であることが分かるような描写を入れると読者に優しいかもしれません^^


 文章も書き慣れている印象を受けるのですが、もう少し「、」を使って、文章に切れ目を入れてあげると良いかもしれません。

 例えば、次の一文には、「、」が一つもありませんよね。


「そろそろリノベを検討すべきではないかと口に出したら怒られそうなことを思う。」


 このまま読むと少し読みにくいので、「、」を入れてみます。


「そろそろリノベを検討すべきではないかと、口に出したら怒られそうなことを思う。」


 国語の勉強になりますがw

 「そろそろ~すべきではないかと」という文は、文末にある「思う」に掛かっているので、上のように一旦「、」で区切ります。「口に出したら~」は、「ようなことを」にかかる修飾語ですよね。

 「、」は、文章の意味を正しく読者に伝えるためにも必要な記号だと思います😊


 それから、こちらの作品ですごいなぁと思ったのが、キャラクター性をよく練られているなと。単純で薄っぺらいキャラ設定ではなくて、ちゃんと複雑な人間性が描けている。

 一番光っているのは、やはり満でしょう。

 いわゆる〝残念なイケメン〟ではありますが、ディザイアーを発症しているだけあって、その中身には、深い闇を抱えていそうです。

 彼についての描写が一番多くて熱もこもっているので、作者様の満への気持ちの深さが伝わってきます。


 ただ、設定が色々ある所為か、地の文での説明が多く感じました💦

 エピソードと会話で説明した後にも、地の文で解説を入れているので、話のスピードが落ちます。逆にくどく感じてしまう部分もあるので、もう少し地の文を精査して、削っても読者には伝わると思いますよ😊

 特に、病院へ到着して、事件が発生するまでの説明がちょっと長いように感じました💦


「状況や恵茉の立場を考え、これ以上討論を続けるのは愚策だと思っただけなのだろう。恵茉だってそれは分かっているだろうが、真渕と同じくこれ以上討論を重ねても無駄だと思ったらしくひりついた空気を引っ込めた。」


 ここの「だろうが」は、逆説ですよね。でも、恵茉は、真渕と同じように思っているので逆説を使うのは、合わないですね。

 以下のように、短くできると思います。


「状況や恵茉の立場を考え、これ以上討論を続けるのは愚策だと思っただけなのだろう。恵茉も同じように思ったようで、ひりついた空気を引っ込めた。」


 他にも、真渕と恵茉の考え方を説明している箇所がありますが、会話文で充分、読者には伝わるんじゃないかなぁ。

 地の文は、会話文で読者に伝えきれない情報を補完するためにあると考えた方が良いかもしれません。なるべく重複する内容は、思い切って省きましょう。

 その方が、話のテンポをぐっと良くできると思います^^


 その会話文ですが、誰が喋っている台詞なのか、分からなくなる箇所があります。

 地の文で補うか、台詞の中に、話しかけている相手の名前を入れたり、口調に特徴を付けたりすることで、差別化を図ると良いかもしれません^^


 そして、世界観を説明するためだとは思うのですが、希も、異能局で働いている真渕も、ちょっと異能に対する知識がなさすぎるような……💦

 せっかく新しいメンバーが入るので、詳しい説明は、二章に持っていき、新メンバーに質問させると良いかもしれません。その方が、一章の話のテンポも上がるような気がします^^


 この作品で一番の魅力となりえるのは、やはり希と満のバディ関係でしょう。

 ですが、正直なところ、希の満への想いがあまり伝わってきませんでした💦

 それが解るような記述は、希が自分のディザイアーを発現させた箇所と、希が「満が自分の弟と考えると悪い気はしない。」という一文だと思いますが、それまでの地の文で、希の満への想いは、どちらかというと冷ややかな印象を受けたので、ここの「悪い気はしない」と思った希の気持ちが唐突に感じました。

 視覚情報しか描写がない所為かもしれませんねぇ。

 せっかく希の視点で地の文を書かれているので、もっと希が満をどう思っているのか、感じているのか、その感情や温もりが伝わるような描写があると良いかもしれません。


 例えば、希が満を弟のように感じているのなら、ラーメンを食べているシーンで、スープが散ってしまうのを見て、甲斐甲斐しく世話を焼くような描写を入れるとか……例えばですよ💦


 私の稚作になりますが、『宇宙樹の生贄』に登場する少年(ユースティス)と少女(アムル)の関係性を表現するために、第一話で以下のような描写を入れています。


===(※以下抜粋。)=================================

 少年が恐怖で身体をぶるりと震わせた。

 ここへは以前にも来たことがあるが、一人で来るのは初めてだ。

 いつもお日様のように明るい少女の笑顔が隣にいないことに、少年は、心細さを感じていた。

 それでも少年は、恐怖にすくむ足をなけなしの勇気で奮い立たせて、一歩一歩進んで行く。

 この先に待っているであろう光を目指して。

===(※以上抜粋。)=================================


 ここでいう〝光〟は、少女のことですね。

 少年にとって少女がどういう存在であるかを表現しています。


===(※以下抜粋。)=================================

 いつも叱ってばかりの樹官長だが、何だかんだと言って、アムルには甘い。

 樹官長がアムルの親代わりだから、というだけではない。

 アムルの笑顔には、見る者の心を温かくする不思議な力があるのだ。

 それは、幼馴染のユースティスにも同じことで、アムルの笑顔を見ると、何でも許してしまいたくなる。

===(※以上抜粋。)=================================


 まぁ、これは地の文で言っているだけなので、ちょっと卑怯と言えば卑怯な使い方なんですが💦

 ユースティスがアムルをどう思っているのかは、読者に伝わるかなと思います。


 もちろん、これらは全て私の一意見でしかないので、これが正解かどうかは、分かりません。ですので、全て作品へ取り入れる必要はありません。

 ふんふん、そう考える人もいるんだな~くらいに、さらっと受け流して頂けると助かります( ˊᵕˋ ; )💦


 あとは、細かな内容になりますが、ちょっと気になった個所を……。


「百年も生きてると自然と知り合いが増えるのだろうかと希は考え、己の友達の少なさを思い出してないという結論を出した。」

 ⇒希も長寿なのでしょうか?


「ピンクと水色という派手なツートンカラーに派手なメイク」

 ⇒ツートンカラーなのは、メイク? 服? 髪の毛?


 以下は、誤字報告です。

「話しているとスタッフが大慌てて大きめのシーツを」

 ⇒「大慌てで」


 こちらの作品へレビューを書かせて頂けるなら、キャッチコピーは……


『異能力者たちによる複雑な人間ドラマ。あなたの願望は、何ですか?』


 こちらで、いかがでしょうか?


 レビューにアドバイスのような内容は書きませんので、ご安心ください。


 もし、ご不快に思わせてしまったら、大変申し訳ありません💦

 コメントにて、この感想へのご感想を頂けると幸いです(*ᴗˬᴗ)

 参加を取り下げる場合は、「削除希望」とだけコメント頂ければ、こちらの感想は非公開とさせて頂きます。

 宜しくお願い致します。



以上

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