第3話 そうして、1話冒頭に戻るのだった。
◇9月18日 AM7:15
いつも通りの朝...。
違うことといえば...。
「おはようございます。先輩」と、俺の家まで押しかけてきた。
「...朝早すぎだろ...」
「決行日ですから。打ち合わせをしておこうかなと」
「ちょっとあんたその子誰!?超かわいいじゃん!」と、母さんが後ろから割り込んでくる。
「関野リノアです。先輩の彼女です。ね?」
「いや「ちょっと!あんた美也ちゃんはどうしたの!?いつ別れたのよ!この子に乗り換えたわけじゃないわよね!」
「いや「ご心配なさらず。ちゃんと前の彼女と別れてから私がアタックして付き合った健全な関係ですので」
「ちょい、俺の話を「そうなの!?それならよかったわ!先輩ってことはもしかして1年生?」
「はいそうです」
うん、もうこれ俺いらないよね。
「どうぞどうぞ!狭い家だけど上がって上がって!あんたは彼女来てるのにその恰好は何!?早く着替えてきなさい!」
「...はいはい」
そうして、関野を置いて部屋に戻り着替えをしていると...。
「チㇻっ」と、扉を開けて覗いてくる。
「...なんで覗いてんだよ」
「私も思春期の女子ですから。男性の体には多少なりとも興味があるんですよ」
「...閉めてくれ」
「仕方ないですねぇ」と、そのまま階段を下りていく。
制服に着替えて朝ごはんを一緒に食べて俺の部屋に戻る。
「えっと...関野「リノアです」
「...リノア」
「先輩、しっかりしてくださいよ。大事なのは先輩の演技力ですよ。たじたじになったり恥ずかしがったり...そういうのは勘弁してくださいよ」
「...わかってるよ」
「では、いったん練習してみますか?」
「..まぁ、おさらいは大切だな」
「今思ったんですけど、私後から入ってきたほうがインパクトないですか?」
「...まぁ、確かに最初からいるよりはあるかもな」
「分かりました。それでは、後から入ることにします」と、部屋から出ていくリノア。
勉強机に座って待っていると、扉を開かれる。
「ざわざわざわ...」と、擬音をわざわざ口に出すリノア。
そのまま、俺の横に立つと俺を顔を両手でつかみ、顔を近づける。
「す、ストップ!」
「ちょっと、ここからが本番ですよ?まるでいつもそうしているかのようにしないと」
「いやいや、そもそも俺たちの接点なんて誰も知らないわけじゃん?むしろ付き合っている体より、突然、関...リノアが来たって方がインパクトあるだろ?」
「...つまり私に付き合ってもない先輩にいきなりキスしたやばい女になれと?」
「...まぁ、そのほうが...インパクトはあるかなと...」
「まぁ、言われてみれば確かにそうですね。私の評価なんて今更どうでもいいですし。では、そっちにしましょう。それなら先輩が照れてしまうのもむしろいいかもしれません」
「...おう」
そうして、1話冒頭に戻るのだった。
◇9月18日 PM3:45 放課後 部室
「どうでした?反応は」
「...そりゃ死ぬほどいろんな人に問い詰められたよ。てか、ディープキスをするなんて聞いてなかったんだが」
「素の反応を引き出すのにはこっちがよいかと。アドリブですよ、アドリブ」
「...アドリブでディープキスするやついるか」
「けど、傑作でしたね、あの二人の顔...w」と、本当にうれしそうに笑うリノア。
こいつ...性格悪いな。
「...まぁ、あとは待つだけだな」
「いやいや何言ってるんですか?ちゃんと付き合っているフリはしますよ?」
「...いや、それ必要か?」
「当り前じゃないですか。週に一回デートしますし、登下校は一緒ですし、お昼ご飯も教室で食べますし、放課後もこうして部室でお話とかしますよ」
「待て待て...、それは...どうなんだ?」
「なんですか?どうなんだって」
「いや...別に目的は達成したしあとは二人が別れるのを待てばよくないか?」
「だめですよ。あの人たちが先輩の前でどれだけいちゃついたと思ってるんですか?その仕返しはむしろここからですよ。それにそれ以降何の影もなかったら別れないかもしれませんよ?」
「...いや...でも...万が一...俺が...その...」
「あぁ、ガチで私を好きになったら困るってことですか?別にその時は付き合えばいいじゃないですか。最初に言いましたけど、私は先輩のことが結構好きです。てか、好きじゃなきゃ嘘でもキスなんてしないですよ。つまりはすべては先輩次第です」
「...てか、なんでリノアは俺のこと好きなんだよ」
「それは内緒です。墓までもっていくくらいの覚悟があるくらいの秘密です」
「...そうですか」
「では、明日からよろしくお願いしますね、ダーリン?あ、そうだ、これ入部届」と、2枚の入部届を渡される。
「...
「はい。私の友達です。まぁ、幽霊部員なので別に大丈夫ですよ」
「...おう」
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