Soundly~10代から20代に書いた詩
天川裕司
Soundly~10代から20代に書いた詩
Soundly
何を言っていいのかわからなくなりました。もう終わりにしたいのです。先人達の教訓も、これから先の心配と期待も、疲れ気味で、”子供”みたいにはいかないのです。眠り薬をぼくに下さい。眠る前、ぼくは誰の名も呼ばないでしょう。それがその先の自分への確信だ、と信じるでしょうから。誰の孤独をも負かす力をもつのが、天国だと未だに信じている。それがどういうことかもわからなくなったぼくには、”愛”のような眠り薬が必要なのです。今のこの言葉についてさえ、何を言っているのかわからなくなりました。これを教訓にしたいと思います。ぼくはこの世を去って先人になる、深く考えれば、ぼくは自分が何だかわからなくなったんです。
たった一度でいい。この世で、神様を見たい。
「創造欲」
人の今まで言えなかった心理が解き放たれる時代が来た。その中で常人は、その奇人には勝てない。今日もあの町でその奇人に常人ひとりが殺された。殺され方が残酷で、手足がもぎ取られ、首がなかった。またあの町でも、この町でも。そういう時は、まだ終わりそうにない。それは人の心の奥底でそういう時代を願っているからか。批判はしながらそういうものが見たい、という意識の中で、時代は進む。この奇人の常識とは、誰でも持つ理性のもうひとりの欲望の常識か。勝手を言わせて貰えれば僕はそんな世間に生き続けていたくはない。また生れたくもなかった。ただ、両親も一緒にこの場所にいる、ということだけ、頭にちらつく。こんな創造は捨てたい。でもそういう事件(こと)が起きる度に創造はよみがえる。
「灰色」
白い愚かさと黒い愚かさが、冬に降りて来た。その夜は真っ白な雪が降り積もっていたため、黒い愚かさははっきり見えるのだが、白い愚かさが見えなかった。いつも悪いものだ、とわかっている黒い愚かさは見えている。そんな時に、同じだけ悪いものの白い愚かさが、命取りにもなり兼ねない。益々、雪は降り積もる。嘘を上乗せするように降り重なった雪は、それはそれで奇麗に見える。
「笑いの王様」
もっと皺がいけ。この右手、左手、そうなりつつある。---------------------------それがとてもうれしい。
ところが、これが病気になってくると、とてつもなく怯える。今までの自分を捨て去るには、その弱さをものにしなくてはならない。”何様のつもり”でもないし、”何様”になるつもりもない。”王様”とは”何様”?怯える”王”などむなしいだけ。そのずば抜けた強気の分だけ、むなしさを倍増させる。もっとやせて皺がいけばいいんだ。その為には、そう、しんどい思いをするしかない(笑)その時には、きっと俺は笑っている。
「雰囲気負け」
何も感じない、等は存在しない。誰かの雰囲気にまかれて、自分の雰囲気をどこかへ追いやる。振り向いてみれば、その雰囲気が誰かのもので、自分のではないことに苛立つ始末。束の間でもその雰囲気に安心を覚えた自分はそこにいる。その自分は束の間成長し、今の自分になっている。その時の自分だけ消すことはできない。その雰囲気を認めることこそが、今の自分を認めて、その時負けた自分を隠すことになるのだ。今は誰の雰囲気に負けている?
「損失」
自分が見えない。自分が見えない。男らしい自分が見えない。女らしい自分が見えない。善良な自分が見えない。悪徳な自分が見えない。過去の自分が見えない。未来の自分が見えない。現在(いま)の自分が見付けられない。.....マニアの自分が見えない。正直な自分が見えない。あたたかい自分が見えない。冷たい自分が見えない。真面目な自分が見えない。お道化る時の自分が見えない。あの人に会う時の自分が見えない。生きていく自分がわからない。
Soundly~10代から20代に書いた詩 天川裕司 @tenkawayuji
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